episode.28 ページ28
*
阿部side
カメラが回ってようやく、お仕事スイッチに切り替えることができた。
気を遣って明るく振ってくれたふっかにも、いつも通りの俺で応えられていたと思う。
みんなのおかげで、少しずつの中のモヤモヤや罪悪感も軽くなりつつあった。
それでも、照とだけはちょっと気まずくてぎこちなくなってしまっていた。
ごまかすように黙々と調理をするふりをしてその場を凌いでいると、ふっかに声を掛けられた。
深「阿部ちゃん、照と気まずい？」
ストレートに聞いてくるふっか。
さっき照の近くにいたのは、きっと俺とのことを話してたんだろうな。
「気まずい、ってか、俺が悪いんだけどね…」
深「照もね、言い過ぎちゃったって落ち込んでたよ。
でもあんな顔されたら怒られてると思うよね。」
へらへらと笑いながら続けるふっかの言葉に耳を傾ける。
深「照、阿部ちゃんのことが心配でたまらなかったから、感情が先走り過ぎちゃったのかもね。
阿部ちゃんも、今回のことに関してはごめんはもう終わりにしよ？
誰も悪くないの、ほんとに、ね？」
「、、うん、わかった。ありがとう。」
“ありがとう”そう伝えるとふっかは、そうこなくっちゃ！と指をパチンと鳴らして俺を指差し、楽しむぞ〜とカメラに向かって走っていった。
ふっかが助け舟を出してくれた今動かなかったら後悔するだろうな、
そう思って、目の前の鉄板から焼きそばやお肉をお皿にてんこ盛りにして照のもとへ向かった。
「照、さっきはごめん、ありがとうね。」
遮られないように一気にそう伝えると、照はちょっと照れたように目を逸らして笑ってくれた。
照「いや、俺もちょっと感情的になった、ごめん。」
このままだとお互いごめんね合戦になっちゃうなと思って、俺は漫画みたいに山盛りのご飯を照に差し出した。
「これ、俺が焼いたから食べて。」
照「お前、なにこの量、ふざけんなよ！」
阿部も一緒に食うの！と肩を組んで隣に座らされた。
本当は今、このタイミングで、俺は注射を打たなくてはいけない。
だけどここでまたぎこちない行動を取ったら照との和解に何の意味もなくなる。
もういい、知らない、なんとでもなれ。
「よっしゃ！じゃあ俺も食べよーっと！」
退院早々こんなんで先生に怒られちゃうな、なんて頭の片隅で思いながら、俺は注射をサボって照と焼きそばをかき込んだ。
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あお - 続きが更新されるのを楽しみにしてます。 (2021年5月6日 1時) (
レス) id: 5edf3afd73 (このIDを非表示/違反報告)
ユキト(プロフ) - 苦しくて泣いちゃうけど読み応えあります、大好きな作品です。 (2021年4月19日 1時) (レス) id: 08a263e11b (このIDを非表示/違反報告)
藍華(プロフ) - はじめまして！この作品を愛読させて頂いているものです。ほんとにお話を読むたび苦しくなるのですが、何回も読み返すくらい大好きな作品です! (2021年4月9日 0時) (レス) id: 55f4a21869 (このIDを非表示/違反報告)
恋した月(プロフ) - 初めまして、このお話が好きすぎるのでコメントさせてもらいます()どの描写もabらしくてSnらしくて本当に美しいくて苦しくて大好きです。これからも応援しています。 (2021年2月13日 17時) (レス) id: d6f1a4b68b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しぃ | 作成日時：2021年1月26日 12時
