episode.43 ページ43
*
渡辺side
阿部ちゃんの体調が万全じゃない、確かふっかが前にそう言ってたっけ。
もちろん誰だってそういう時はあるし、お互い様だと思ってた。
でもさ、もうそれ何ヶ月前の話？
俺たちいい大人なんだから、体調管理も仕事のうちじゃん。
同じような症状をずっと繰り返してるのに放っておく意味が分からない。
我慢して仕事を優先させることが美徳だと思ってるのか知らないけど、それで気を遣ったりするのは俺らなんだよ。
イライラして嫌味のような言葉を投げかけたあの日から、当然気まずくてお互いを避けていたけど、メンバーが９人もいれば大して気にもならなかった。
久しぶりに距離を近めて言葉を交わしたのは、雑誌の撮影。
スタッフさんが決めたペアだから、不可抗力？ってやつ。
照と俺と阿部ちゃん。
ポージングを取りながら近づいたときに見えた、阿部ちゃんの腕捲りされた衣装から覗く大きな痣。
心配っていうより単純に気になったから久しぶりに話しかけた。
「腕、どうした？」
俺の言葉で気が付いた照も、随分派手にやったね、と声を漏らす。
阿「あー、、ちょっと、別の番組の収録で、」
気まずそうな歯切れの悪い返事。
直近でそんな怪我をするような収録はしていないし、阿部ちゃん個人の仕事だってそんな仕事は無かったはず。
岩「ちゃんと冷やしなね？」
何も聞かずにそう言うだけの照に申し訳なさそうな顔でごめん、と呟き捲った袖を下ろそうとする。
ス「阿部さん、編集で消せるのでそのままでも大丈夫ですよ！」
優しい言葉をかける他の人たちを見てると、俺はまたイライラしてきた。
「余計な編集の手間掛けさせるんだからさ、そういうの気を付けなよ。それにテレビはどうすんの？編集で消せないよ？視聴者さん心配するよ？」
阿「、、ごめん、衣装とか、考えるから。」
わざとらしくため息を吐くと、
岩「しょーた、」
言い過ぎだよ、と言わんばかりに肩をポンポンと叩かれる。
自分でも薄々気付いてるんだ。
俺は焦ってる。
だから、個人の仕事が沢山あるのにいまひとつ身が入っていない阿部ちゃんを見てるとイライラするんだ。
その理由も知らず、ただの八つ当たりだよな、こんなの。
頭の片隅にいる冷静な俺はそう分かっているはずなのに、口を開くとやっぱりキツく当たってしまう。
楽屋に戻って発した言葉が、とどめを刺してしまった。
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あお - 続きが更新されるのを楽しみにしてます。 (2021年5月6日 1時) (
レス) id: 5edf3afd73 (このIDを非表示/違反報告)
ユキト(プロフ) - 苦しくて泣いちゃうけど読み応えあります、大好きな作品です。 (2021年4月19日 1時) (レス) id: 08a263e11b (このIDを非表示/違反報告)
藍華(プロフ) - はじめまして！この作品を愛読させて頂いているものです。ほんとにお話を読むたび苦しくなるのですが、何回も読み返すくらい大好きな作品です! (2021年4月9日 0時) (レス) id: 55f4a21869 (このIDを非表示/違反報告)
恋した月(プロフ) - 初めまして、このお話が好きすぎるのでコメントさせてもらいます()どの描写もabらしくてSnらしくて本当に美しいくて苦しくて大好きです。これからも応援しています。 (2021年2月13日 17時) (レス) id: d6f1a4b68b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しぃ | 作成日時：2021年1月26日 12時
