手をとりあって、ずっと。

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向井side






『ちょっと言い過ぎたかも』






ある日の楽屋で館さんが呟いた。



何とは言わへんけど、この間の阿部ちゃんとのことなんやろうな。


これといって確信は無いねんけど、最近阿部ちゃんとの間に、なんとなくメンバー全員が少し壁のようなものを感じとる。


阿部ちゃんがバリアを張ってるっていったほうが近いやろか。


まぁ、いちいち突っかかってなんやねんそれ、とはならへんねんけどな。


ただ、それをみんなが感じ取ってしまってるからか、頻繁に現れる阿部ちゃんの不調にも少しピリついてしまうことが増えた。





大人げもなく、言わなくていいこととか、普段ならもっと優しくフォローできることも、ほんの少しトゲのある言い方をしてしまってんな。









渡「なんか最近、あんな感じのこと増えたよね」




心配よりかは呆れた口調で話すしょっぴーの視線の先には、ソファで寝ている阿部ちゃん。




あんなに張り切ってたネプリーグの収録前やのに、いつものクイズノートも見当たらず、本番ギリギリまでそこから動かんかった。




収録中、表情やコメントこそいつも通りに見えたけど、クイズに関しては、なんていうか、可もなく不可もなく。



ジャニーズのクイズ王と紹介された割には大きな見せ場は作られへんかった。



落ち込んでるのは目に見えててんけど、言ってしまってんよな。







渡「そんなに落ち込むなら収録前寝てないで勉強してたら良かったのに。」






冗談っぽく言ってるつもりなんやろうけど、しょっぴー少し本気の目やった。






佐「もー300万円獲ったからって油断しちゃだめだよー！」




にゃははと笑うさっくんに乗っかって、俺もつい口走る。





「まぁー、分かるよ。俺が阿部ちゃんやったら天狗なるわ！」






冗談のつもりやった。





けど、目の前にいる阿部ちゃんは、今にも溢れそうなくらいの涙を目いっぱいに溜めていた。







阿「っ、、ごめ、んっ、、」






それ以上何を言うでもなく、少し乱暴に鞄を抱えると、ひとり足早に帰ってしまった。





阿部ちゃんのいない楽屋、そこには思ってたんとちょっと違う言葉が飛び交った。








渡「俺らなんか間違ったこと言ってんのかな？

様子がおかしいとか調子悪いとか言うけどさ、
自己管理も仕事のうちじゃん。

流石に俺らばっか気遣うの違くね？」





イラついたような口調のしょっぴー。




同調するメンバー。




少しずつ、歯車が狂い始めた。

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