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episode.14 ページ14

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阿部side





数時間単位で恐ろしく変化していく自分の体調に恐怖を覚える。



朝は目覚めが悪くて怠く、劇場入りから本番前にかけて頭痛と吐き気が止まらなくなった。


気合いだけで舞台に立てば、今度は体に力が入らない。小柄なJr.の子と少し接触しただけで体を支えきれずに転倒。


舞台が終わる頃には何かにつかまっていないと歩くことができなかった。





もしこれが序盤で、まだ先に何十公演も続くような時だったらきっと答えは変わっていただろう。


でも、残すのは明日の千秋楽だけ。


自分の中では舞台に立つという選択肢しかなかった。




そうとなれば、この状況を誰にも察せられてはいけない。

だって自分でも分かるもん。

これが他のメンバーに起きていることだったとしたら、どんな強行手段を使ってでも休ませるはず。




だから俺はマネージャーに頼み込んで、体調が悪いからすぐに帰らせてほしいと伝えた。

そして、メンバーには誰にも知られないようにしてほしい、と付け加えて。




ずるいことも困らせることも分かっていたけど、ごめんなさい、今だけは許して。





フラつく足取りで送迎車に乗り込むと、昨晩の寝付きの悪さが嘘のように眠りについた。


その早さは、どちらかというと意識を失うに近かったかもしれない。





マ「阿部さん!起きれますか?」





マネージャーに呼ばれる声で目を覚ます。

窓の外を見ると、そこは俺の家ではなく…




マ「メンバーの皆さんに言わない代わりに、病院に行ってください。」




“交換条件です”と言う真剣な顔にそれ以上何も言えなくて渋々病院へ向かった。





なんて言われるのかな…とビクビクしてた割に、この日はとても呆気なかった。




「血液検査だけしておきましょうか。結果は1週間後に聞きにきてください。ではお大事に。」




それだけ告げられると、特に薬を出されるわけでもなく帰された。




マネージャーはなんだか腑に落ちない表情をしていたけど、お医者さんがそう言うのだからこちらはもうどうしようも無い。





帰宅してからも相変わらずフラフラで、シャワーを浴びていても髪の毛を洗い切る前に力尽きて座り込んでしまう。


それなのに不思議とお腹は空くから食べられそうなものを口にしたけど、少しすれば吐き気に襲われ全て戻してしまった。


だんだん怖くなってきたけど、携帯を手に取る気力もなく、ベッドに辿り着く前に硬い床の上で力尽き、そのまま朝を迎えた。

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あお - 続きが更新されるのを楽しみにしてます。 (2021年5月6日 1時) (レス) id: 5edf3afd73 (このIDを非表示/違反報告)
ユキト(プロフ) - 苦しくて泣いちゃうけど読み応えあります、大好きな作品です。 (2021年4月19日 1時) (レス) id: 08a263e11b (このIDを非表示/違反報告)
藍華(プロフ) - はじめまして!この作品を愛読させて頂いているものです。ほんとにお話を読むたび苦しくなるのですが、何回も読み返すくらい大好きな作品です! (2021年4月9日 0時) (レス) id: 55f4a21869 (このIDを非表示/違反報告)
恋した月(プロフ) - 初めまして、このお話が好きすぎるのでコメントさせてもらいます()どの描写もabらしくてSnらしくて本当に美しいくて苦しくて大好きです。これからも応援しています。 (2021年2月13日 17時) (レス) id: d6f1a4b68b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:しぃ | 作成日時:2021年1月26日 12時

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