記憶 ページ1
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「おばあちゃん、これなーに?」
おじいちゃんが亡くなって、「こんな大きな家に一人で暮らしてたら寂しい」と言ったおばあちゃんが私の家に住むことになって。
家の整理をしていた時、当時7歳の私は屋根裏でそれを見つけた。
それは薄くて平らな木箱で、やけにきらびやかな装飾が施されていた。
首を傾げてそれを見たおばあちゃんは、やがてその目を見開いて目じりを下げた。
『こんな所にあったんだねぇ』
私からそれを受け取って、しわしわの指で愛おしそうに撫でた後また私にそれを返してきた。
『開けてみなさい』
おばあちゃんの言う通りゆっくり箱を開けてみれば、そこには綺麗な掛け鏡が鎮座していて。
金色の縁にサビひとつ無い鏡。まるでお姫様が使いそうなその鏡に、プリンセスや童話が好きな年頃である私は「かわいい…!」と目を輝かせた。
『気に入ったのならAにあげるよ』
「ほんと!?ありがとう、おばあちゃん!」
『大事にしなさいね』
微笑んで頭を撫でてくれたおばあちゃんに、私はその鏡を両手でぎゅっと抱きしめながら頷いた。
今考えれば、この出来事こそ運命だったのかもしれない。
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作者名:すあ。 | 作成日時:2020年8月24日 17時