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____何者。その言葉が重くのしかかった。目の前の彼がミノであることは間違いないはずなのに、ヒョンジンくん同様、私のことを本当に知らない様子だった。私へと向ける冷たい目線に胸が痛む。ミノにこんな反応をされるなんて生まれて初めてだった。
「……」
「アララ」
へたり、とその場に座り込む。膝に冷たい土の感触がしっかりして、きっとスカートやソックスに土が付いてしまっているだろう。でもそんなことはどうでもよかった。
……本当に、ミノは、いや彼らは私の知っている彼らとは別人なのだろうか。というか普通に考えたらそっちの方が彼らの反応の説明がつく。何ならミノは茶髪に対して目の前の彼は黒髪だし。
もし本当に彼がミノだというのなら、あの後すぐに黒髪スプレーでも使ったということになるが現実的に考えて違うということは分かる。いや、もう既に現実離れしたことばっか起きてはいるんだけど。
ヒョンジンくんもミノも、すっごく似ているだけの別人。そう考えた方が早いのに、ヒョンジンくんはともかくミノのことはどうしても、そう思えない自分がいた。
「ね?おかしいでしょ
「知ってるも何も…ほんとに知ってるんだ、もん」
私がミノだと疑わない彼のことをリノと呼んだヒョンジンくんのその後の言葉に、思わず口を挟む。私が発言すると思わなかったのか、「うん?」と後ろから声が聞こえた。それから二人の視線が私に集まる。
「私だって何が何だか分からないよ…。さっきまで公園にいたはずなのに、気付いたらこの森にいたの。そしたらヒョンジンくんがいたから声かけたら私のことなんて知らないって言うし、ミノだってそう。ねぇ、ここどこなの?あなたたち、私の知ってる二人とは別人なの?」
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作者名:時雨 | 作成日時:2024年3月25日 16時