Dead World【Shota.W】2

＊ ページ42

Side嶺亜


嶺亜「…………ん、」


目を覚ますと知らない場所にいた。

全く見覚えがない。


自分の身体を見ると変な方向に腕が曲がっていて

所々血だらけだ。

でも、痛みは感じない。


「お客様」


声をかけられて顔を上げると

綺麗な女性がいた。

名札には「シノ宮」と書かれている。


A「本日はどのようにして亡くなられましたか？」


嶺亜「死ん、だ……？

俺、死んだんですか？」


A「はい」


そっか。死ねたんだ。


嶺亜「あ、俺、飛び降りて……」


A「自 殺ですね。

こちらへどうぞ」









シノ宮さんの後について行き

成仏許可申請書と自 殺申請書というものを書いた。


A「中村さんはアイドルを

されていらっしゃったんですね」


嶺亜「はい……。俺、デビューするのが夢だったんで」


A「夢があるのはいいことですね」


シノ宮さんは優しくそう言ってくれた。


A「先日も、アイドルの方が訪れました。

芸能人の方は普通の方よりも亡くなった時に

悲しむ人が多いでしょうね」


その言葉にハッとした。


俺のファンの人は、

急に俺がいなくなってどうするんだろう……。


A「手続きは以上になります。

こちらへどうぞ」






嶺亜「…………あの」


A「はい」


嶺亜「自分から死んどいて何なんですけど、

俺のメンバーが来たら伝えて欲しいことがあるんですけど、

いい、ですか？」


A「はい。もちろんです」


嶺亜「俺と一緒にいてくれてありがとう。

先に逝ってごめん…………って」


A「承知しました」




中村嶺亜

生 1997年4月2日 東京都 A型

没 2020年5月31日

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