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「遅い。」
こちらに見向きもせずに、開口一番そう言った彼、スマイルはいつもと同じように"哲学入門"を読んでいた。
高校生が読む本なのか、と思う。
以前彼から借りたけど、何を言ってるのかさっぱり分からなかった。
「あぁ、うん、ごめん。」
早く来いなんて約束したかなと思いながら、適当に返事する。
「別に、早く来いとは言ってないから。謝るのは違うでしょ。」
スマイルは何を考えてるのかよく分からない。
またごめんと答えそうになるのを堪えて、笑う。
彼はきんときくんに似てると思う。
彼も茶髪なところを除けば制服だってしっかりしてるし…
性格って訳ではないけれど。
スマイルはきんときくんと同じように嫌いじゃない。校則を守ってるから。
最近は服装や清潔さで人を見極めるようになってきたから直さなきゃな。
外見で人を見るのは良くないと分かってる。なかむだって最初はただの軽い奴かと思ってたけど、あれでも意外といい奴だったし。
なんか、きちんとしてる人を好む傾向があるのかな私。
色々考え事をしていたから、ずっと突っ立ってしまった。
ブォー
沈黙をトロンボーンが破った。
やっぱり今日も上達してないみたい。
トロンボーンの音が合図だったかのように、むすっとした顔でスマイルがらやっとこっちを見た。やっぱり綺麗な紫色の目をしている。
いつもの癖っ毛をわしゃわしゃとかいた後、ここ座ればと隣を指す。
ほんとに不器用。立ってた私も悪いけど。
人間が効率的に動くには〜とか毎日言ってるくせに、自分では全然効率的に動けてないと思う。
「はいはい。」
座って、勉強道具を出し始めれば、さっきの不機嫌そうな顔が少しましになって、ほっとした。
ｷﾘﾄﾘ✂︎
なかむさん誕生日来ましたね…！いや、めでたい！！
続く (更新停止中)
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作者名：shema | 作成日時：2021年10月25日 20時
