見つけたもの ページ9
『お心遣い、ありがとうございます。ですが、ここでの勤務を続けさせてください。』
立って深く頭を下げると、社長も驚いたように立ち上がる
『ハンター試験に参加して、沢山の人と知り合い、様々な体験をしました。個々の境遇を持った青年たちの中で生活をしている内に、次第に自分の仲間を…居場所を強く意識するようになりました』
田所は、旅立つ前の日に一緒に残業をしてくれた。倉橋ちゃんは、試験中いつでも助けてくれた。山田は、そんな倉橋ちゃんが落ち込んだときには励まし、私の代わりによく見てくれていた。デイビス先輩は、企画部の皆を見えないところで守ってくれている。
『私は、この先もずっとここにいたい。……私の意思です。どうか、これからもよろしくお願いします!』
静寂に、頭が上げられない。そのまま数分が経過した時だった
「ああ、分かった。君がそう言うのならわが社も歓迎する。しかしそんなことを言うようになるとは……驚いたよ」
『ありがとうございます!』
顔をあげて社長と目が合う。穏やかで、暖かいまなざし……
「では、もう戻りなさい。引き続き、応援している」
『はい、失礼します』
これで、話は終わりか。
一礼をして廊下に出たあと、静かに扉を閉める
『……はー、びっくりした。笑うんだ、あの人』
廊下に出た途端に緊張が解けてれ思わず座り込んでしまった。
「お!Aー。帰ってたんだな」
『山田!』
壁に背中を預ける私の前に、見慣れた黒髪スーツが現れる。
『出社遅すぎるでしょ。鞄置いてこい……』
「いや、肩貸してやるよ。なんか腰抜かしてるし」
『いいってば。お前は遅刻の心配が先だ』
私の言葉も聞かずに横にしゃがむ山田の髪は、いつものように寝癖だらけだ。
「あ!ちょっと山田さん、先輩とイチャつかないでくださいよ〜。ほら、先輩立てますか?」
どこから来たのか、倉橋ちゃんが私を見つけて手を伸ばしてくれる。
はー、今日も平和……
「Боже, мой! A先輩?ハンターに転職って聞きましたよ」
『フランちゃん?なにその噂』
倉橋ちゃんの後ろから顔を出しているのは、フラン=アーチボルド。多少母国語訛りがある、長い金髪の女の子だ。
「フランちゃんは部署が変わりましたからね〜。企画部以外では色んな噂が流れてるみたいですよ?」
 ̄ ̄ ̄ ̄
『これは、すれ違う知り合い全員に絡まれるパターンと見ました』
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shela(プロフ) - はにゃ?さん» コメントありがとうございます!読みやすさ重視で頑張っていたのでとても嬉しいです〜応援ありがとうございます、これからも頑張ります!! (2023年2月10日 18時) (レス) id: 9d22579331 (このIDを非表示/違反報告)
はにゃ? - とても読みやすいです。これからも応援してます。 (2023年2月10日 8時) (レス) id: ef6fdebb20 (このIDを非表示/違反報告)
shela(プロフ) - アクアクさん» コメントありがとうございます〜!読者様の求めている作品に一致しているだなんて、本当に光栄です!!必ず続きを書きますので、これからも社畜少女にお付き合いいただければ嬉しいです!作品を読んでいただき、ありがとうございました! (2023年1月4日 17時) (レス) id: 9d22579331 (このIDを非表示/違反報告)
アクアク(プロフ) - これぞ私が求めていた作品そのもの!!続き待ってます!!!! (2023年1月4日 8時) (レス) @page45 id: 2730d44706 (このIDを非表示/違反報告)
shela(プロフ) - レーナさん» 読んでくださって、そしてコメントまでありがとうございます!お褒めのお言葉いただき嬉しいです!嬉しすぎますっ!!ネタやテンポ、力を入れているところなのでそう言ってもらえて本当にもう…!お気遣いありがとうございます、これからも頑張りますっ! (2022年4月2日 8時) (レス) id: 9d22579331 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:shela | 作成日時:2021年12月28日 19時