館 ページ46
『……この、いかにもヤクザの解体場みたいな立地にあるのがノストラード館』
「ああ、間違いない」
朝日が差し込む山麓の、鬱蒼とした広葉樹林を進んだ先。
早朝に宿を出た私達は、採用試験会場の門の前へと到着していた。
隣にいたクラピカがインターフォンの前へと進み出る。
「千耳会から紹介された、クラピカという者だ」
『マーレコーポレーションから紹介されましたAです』
言い終える前に、大きな門が自動で開いていく。奥に建つノストラード館は、まるで何かのテーマパークのような大きさだ。ネズミーランドみたい。
「ようこそいらっしゃいました。こちらへどうぞ」
扉を開けて待ってくれていたのは髭を生やしたおじいちゃん執事だ。怪しげな採用内容には合わない、温厚そうな人だな。
「A、離れるなよ」
『オーケー、ピッタリくっついてるね』
クラピカの冷ややかな視線を感じて、慌てておじいちゃんの方にベッタリと張り付く。しまった、昨日の話すっかり忘れてボディタッチしようとしてたよ。
「……？」
『あ、お気になさらず』
不思議そうな表情を浮かべたおじいちゃんが、鍵を使って大扉を開けていく。
「こちらの廊下の奥にある部屋でお待ちいただきます」
『おお〜』
視界に広がったのは巨大すぎる室内庭園と、ブロンズ像や絵画で飾り付けられた廊下だ。
「時間になり次第お呼びしますので、何かあればお声かけください」
丁寧な所作で扉を開けてくれるおじいちゃん。
軽く会釈をして待合室に入ると、中には既に何名かの参加者がいるようだった。
『よろしくお願いしまーす』
「ねえ、そこの子」
ソファに寝転んでいた一人が、立ち上がってこちらに向かってくる。なんとも、スタイルの良いお姉さんだ。髪型は少し特徴的な一本結だけど…
「私とキスしてみない？」
『え、いやちょっとそういうのは間に合って…』
「あんたじゃないわよ、横の子」
衝撃的すぎる。初対面で濃厚すぎる接触を要求してくるとは、なんてメンタルを持ってるんだこの美女は。ていうか横って…
「知らないの？近頃都会で流行りの挨拶。インスタントラヴァーっていうの」
『そんなカップラーメンみたいな…』
お姉さんに妖しく微笑まれたクラピカは、冷静そのものの無表情だ。
流石我らのクラピカさん。お堅いぜ
「あいにく都会育ちではなくてね。遠慮しておこう」
_______
『生粋のヨークシン郊外育ちでも遠慮するレベルだよ』
続く
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shela(プロフ) - はにゃ？さん» コメントありがとうございます！読みやすさ重視で頑張っていたのでとても嬉しいです〜応援ありがとうございます、これからも頑張ります！！ (2023年2月10日 18時) (
レス) id: 9d22579331 (このIDを非表示/違反報告)
はにゃ？ - とても読みやすいです。これからも応援してます。 (2023年2月10日 8時) (レス) id: ef6fdebb20 (このIDを非表示/違反報告)
shela(プロフ) - アクアクさん» コメントありがとうございます〜！読者様の求めている作品に一致しているだなんて、本当に光栄です！！必ず続きを書きますので、これからも社畜少女にお付き合いいただければ嬉しいです！作品を読んでいただき、ありがとうございました！ (2023年1月4日 17時) (レス) id: 9d22579331 (このIDを非表示/違反報告)
アクアク(プロフ) - これぞ私が求めていた作品そのもの！！続き待ってます!!!! (2023年1月4日 8時) (レス) @page45 id: 2730d44706 (このIDを非表示/違反報告)
shela(プロフ) - レーナさん» 読んでくださって、そしてコメントまでありがとうございます！お褒めのお言葉いただき嬉しいです！嬉しすぎますっ！！ネタやテンポ、力を入れているところなのでそう言ってもらえて本当にもう…！お気遣いありがとうございます、これからも頑張りますっ！ (2022年4月2日 8時) (レス) id: 9d22579331 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：shela | 作成日時：2021年12月28日 19時
