社畜少女がハンター試験を受けるらしいです4［H×H］

急行列車 ページ37

「まもなく、16番線に列車が到着いたします。 安全柵の内側までおさがりください」

『えっと、これに乗れば最寄りの駅に着くのか…』

駅には意外と人が多い。皆こんな時間まで大変だな

「あの、お嬢さん。素敵な音色を奏でるその子はペット?」

『え？』

列車を待っていると、横にいた女性に声をかけられる。
素敵な音色って…なんだ、ドラちゃんのいびきか？

「鷲かしら？とっても可愛い」

『あぁ！ポチっていうんですよ。すごく賢いんです』

「あらあ〜、ポチさん」

「くあ」

なんて上品な女性なんだ。小柄で、おっとりと優しい雰囲気がなんとも素敵だ。

「私、センリツっていいます」

『Aと申します』

ふわりと微笑んだセンリツさんが、近くに貼られた路線図の端を指差す。

「ここまで行くの。旅は道連れって言うでしょう？良かったらご一緒にどうかしら？」

『そこだったら同じですよ！ぜひぜひ』

不思議な物言いをする人だ。詩人みたい

「列車が来たわ。乗りましょう、Aさん」

大きな音を立てて到着した列車。

旧式に見える扉をくぐって、先を歩くセンリツさんに続く

『あ、この部屋空いてそう』

映画で見るような、客室ごとに区切られた趣を感じる車内。ヨークシンの電車とは全然違うな…

私の言葉に頷くセンリツさんが、客室の扉をノックする。

「失礼。お邪魔するわ」

『失礼しまーす。……え！？』

センリツさんの上品な所作を見習おうとして小さめに出した声を早速荒らげてしまう。
いや、だってさ…

「A？なぜここに…」

『クラピカ、今日も可愛いね。愛してるよ』

目を丸くしてこちらをみるクラピカに、思わずウインクを飛ばしてしまった。
どこかで会うとは思ったけど…久々に見たら愛情表現止まんなくなっちゃったよ。

「あら、素敵な縁ね…」

入り口に立ち尽くす私の背中を優しく押してくれるセンリツさん。
二人でクラピカの正面に腰を下ろすと、クラピカが小さくため息をついた。

「できれば会いたくなかったものだ…」

『冷たいこと言うなって〜クラピカきゅん』

「今の私にその勢いは辛すぎるんだ」

前よりも少し痩せたようなクラピカが、困ったように笑う。
なんだか元気がない。心配だ…

『クラピカ…』

「切符を拝見いたします」

私の声に、扉のノックの音が重なる

車掌さんかな…？



___

『元気だしなって、ほら飴ちゃん食べる?それとも蒟蒻ゼリーがいい?』

「やけに大荷物だと思ったら…遠足に行くのかお前」

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