君が何もかも見えなくなるその前に【太宰治】

36：君が前を向くように(手紙1枚目) ページ36

“太宰くんへ。



多分読んでる頃には、私が死んで何のやる気も起きてない頃でしょう。うん、多分絶対。だから、気休めでも貴方がヤル気を起きてくれたら幸いです。そして、私の後を追って死のうとしないためにも…。

まず、先に死んじゃってごめんね。置いて行っちゃったねー。自さつ癖がある貴方だから多分後を追いそうだから止めてね。そしたら怒るからね？絶対助けて死なせないからね。
きっと辛いだろうけど…でも、もう少しだけ我慢してね。
だから、貴方が死ねないために…簡単に死のうとしないために、とっておきの最高プレゼントを用意したよ。残してあるよ！！それは与謝野さんから受け取ってね。

最初は貴方は嫌がるかも…迷惑って思うかなって思ったけど…。心配はなさそうだし…今の貴方ならきっと喜んでくれるって信じてます。いや絶対喜ぶし嬉しがるはずだよ。

ねぇ、太宰くん…私を彼女にしてくれてありがとう。お嫁さんにしてくれてありがとう。嬉しかった。
貴方に逢えて良かった…。凄く良かった。人生を変えてくれてありがとう。凄く楽しかった。
ホントは挙式したかったね。太宰くんはどう思ってるか分からないけど…。私はしたかったなあー。

生まれ変わっても私は貴方を愛します。何年前も先も…100年経とうが、1万年経とうが…私は貴方しか愛さない。それは太宰くんも一緒だと嬉しいです。

そして、1度も貴方の前で治と呼んであげられなくてごめんなさい。けど、手紙でもやっぱり恥ずかしいなあ…治くん…約束聞いてくれますか？

もう、私はいないから書類、資料や報告書は必ず自分でしてください。国木田さんや中島さんも自分の仕事があります。貴方も自分の分は自分でしてね？絶対だよ？治くん本気出したら私よりも早く終わらせること出来るんだから…。

2つ目は川に流れに行ったり、自さつしに行かないでください。今まで私が生きてた頃は、私が探しに行けば良かったのですが、私はもういません。探してくれる人はいないんだよ？そりゃあ国木田さんと中島さんが探してくれるかもしれないです。けど迷惑きまわりないので止めてください。

3つ目…私を思い出さないでください。だって、忘れることないでしょ？絶対忘れないでしょ？けど…もしも他に好きな人ができたら…その時は私を気にせず選んでください。
貴方が幸せになるのが一番だから…。遠慮なく付き合って結婚してください。
相手が生まれ変わった私なら絶対！！
でも…ホントは…

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