雪唄【風丸一郎太】 (ページ9)

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9：耳元に降る雪ページ9

「風丸くん音楽を持ってきたので聞いてみませんか？」

優しく微笑んで俺にそう聞いてきた雅。ちょっと長めの前髪から覗くハチミツ色の瞳は少しだけ嬉しそうに見えた。

「あぁ、じゃあ聞いてみたい。せっかくなので聞いてみよう。」

「好きかどうかは分からないので、私の独断と偏見と好みとオススメだけで持ってきたよ。」

「それでも良いよ俺あんまり音楽とか分かんないし。」

音楽プレーヤーからヘッドホンの線を取って、イヤホンと付け替える。

「えーっと待ってくださいね。」

「あぁ。」

片耳ずつつけて2人で聞く。なんだか2人だけの秘密のように思えて心が…胸がくすぐったかった。耳元に音楽が流れてきて聞いていた。あ、俺これ好きかも…声も曲も…全部好きかも…。そして次の曲に切り替わる。すると雅が

「あ、ゴメンね！！間違えちゃった！！コレじゃなくて…。」

「待って！！俺この曲特に好き！！さっきまで聞いてた曲も好きだけどコレは特に好き！！声も曲も全て！！さっきまでの声、曲よりも好きだ！！すっごく好き！！」

そう言って替えようとした雅の手を止めてそのまま聞いた。

「雪が降ってるような…静かで甘くて…ちょっとハスキーな掠れた声。俺…めちゃくちゃ好きだ。」

「ありがとう…。」

「いや、俺の方がありがとう。こんなに良い曲を教えてくれて…。」

「うん…。」

雅はとても恥ずかしそうにしていた。