雪唄【風丸一郎太】 (ページ8)

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8：いない鬼道とギターページ8

その日の音楽の時間だった。

「アレ？鬼道は？」

「確かにいないな。」

「一緒に来たはずなのにな…。」

「トイレじゃないか？」

いつもなら一緒にいるはずの鬼道がいなかったのだ。この時間になってもいないのは鬼道にしては珍しかった。あと2分くらいには授業が始まると言うのに…。

「でもあの鬼道が授業が始まる2分前とかでトイレなんかに行くか？あんなに時間に厳しい鬼道が。」

「だよな…。」

「俺探してくるよ。適当に話つけておいてくれ。」

「分かった。」

確認のために教室を覗いた。けどそこは当然のように誰もいなかった。そのうち授業が始まるチャイムがなった。

ないとは思うけど具合が悪いのかも…そう思って保健室を覗いたが、そこには誰もいなくて校医さんしかいなかった。

「だよな…。」

仕方なく音楽室に戻ったが鬼道の姿はなかった。

そしておかしいのは鬼道だけでなく雅もおかしかった。姿はあるが俯いていたのだ。

「雅…具合い悪いのか…？」

「あ…うん…別に大丈夫だよ…。」

今日は合唱ではなく楽器だがギターを持つ雅は何だか辛そうに見えた。