あの月【S】 (ページ37)

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37：雨止まないでくださいページ37

「ココ…俺のお気に入りの場所なんだ…。」

「なんで…ですか？」

「俺ね…前も言った通り…中3の夏休み最後の前から記憶が無いわけ…でも…この場所は知ってたんだ…。頭が覚えてなくてもカラダが覚えてたのかもね…。」

「そうなんですか…。」

「うん。」

ヒュー

バーン…

花火が上がった…。

「星が綺麗ですね…。」

「え？」

「あ、昔…ある人が9年前の花火を見ていたら…、雨…止まないなって…。」

「へ…。」

「私…そのときまだ子どもだったから意味が分からなくて…調べてみたんですよ。」

「それで？」

「もう少し…隣にいたいですって意味だったんです。」

「そう…なんだ…。」

だから今思えばあの時の櫻井さんの言った意味が分かった気がした。

「私…もしも9年前に戻れたら…もう一度櫻井先輩に会えたら…。」

きっと私は…

私は…

「雨…止まないでください。」

きっとそう言うから…

「そう伝えてます。」

私がそう言った途端…

「ッ…くっ…っっ！！」

頭を抑えて苦しみ出した。

「櫻井さん？櫻井さん！！」

どうしよう…どうしよう…。

誰もいないから呼びようがない…。

「櫻井さん大丈夫ですか！！」

「あ…頭が…っっ！！。」

そのまま櫻井さんは気を失ってしまった。