20：中学 ページ20
「へぇー中学の頃に付き合ってた先輩がねー。」
「そんでその光景と今が似てて思い出しちゃったんだ。」
ゆっくりと頷くと
「その先輩は？」
「へ。」
「その先輩とはどうなの？」
「分からないんです…。」
「分からない？」
「先輩…突然何も言わず転校したんです…。」
「そっか…。」
「会えてないの？」
「はい…。」
櫻井さんは先輩じゃないと分かったから…。だから会えてない。
「所謂…自然消滅です。」
「そっかあ…それはツラかったねー。」
「ねぇねぇもしも嫌じゃなかったり、大丈夫のなら…その先輩のこと教えてよ。」
「あ、はい。大丈夫ですよ。」
みんな聞きたいと言って集まってきた。
「頭が良くて…サッカー大好きで、とても上手くて部活ではキャプテンをしてました。カッコイイ人でした。だからとても人気者でした。性格は…性悪でひねくれ者で意地悪でした。」
「へぇー。」
「ねぇ写真見せてよ。」
「ないです。」
「そうなの？」
「はい…随分前のスマホになら残ってますけど…写真のデータは送ってないので、この中にはありません。」
「そっかあー残念。」
すみませんと頭を下げると、みんな笑って大丈夫と言った。
「みなさん仲が良いですよね。」
「俺たちは中学から一緒なんだよ。翔さん以外は中学から。」
「櫻井さん以外は？」
「翔さんは中学3年の途中から転校してきたんだよ。」
「そうなんですか？」
「あぁそうだよ。」
「へぇ…。」
一瞬戸惑った。
「翔さん転校初日からキャーキャー言われてたよなあー。」
「やっぱり人気なんですね。」
「え？」
「え？」
「やっぱり…って？」
「あ、えっと…会社でも人気なんで…中学も人気者だったんだなあーって…。」
ホントは…違う…。
本人という確信もないのになぜ言ってしまったのだろうか…。
「でもねー彼女もいたのにさ、みーんな別れるんだよ。しかも早々に。」
「何でですか？」
「さぁー？」
「あ…でも…。」
「もう良いだろ俺の話は。」
機嫌が少しだけ悪くなって話を中断させた櫻井さん。
「すみません…。」
「あ、ポテサラ届いたよ翔ちゃん。」
櫻井先輩もポテサラが好きだったのを思い出した。
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作者名：中二半の彼女は霜月さん
| 作者ホームページ：
作成日時：2017年12月13日 14時
