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式がどうやって進んでいったとか、何を食べたとかそういうのは一切何も覚えていなくて。
ただ覚えているのは幸せそうな二人。そこにいたのは私が知らないお兄ちゃん。
身内席はあの人がいるから近寄りたくなくて、無理言って用意してもらった少し離れた席に座って。…あの人も周りの人に私のこと知られないし、そっちの方が好都合だろうし。
私はそこから二人を見ながら、ただ時間が過ぎるのだけを待っていた。
みんなにお祝いされてる2人を見てたら、この空間の中でたった1人自分だけがポツンと取り残されてるみたいな気分になる。
でもたまに蓮が私を気にしたようにこっちを見るからそれで少しだけ楽になった。
阿「A、この後二次会があるんだけどもしよかったら」
『ごめんお兄ちゃん、私用事あるから、』
披露宴が終わって少しした後、お兄ちゃんとお嫁さんが私と蓮の元に寄ってきて二次会に誘ってくれたけど、どうにもそんな気分ではない。
断ったらお兄ちゃんはちょっと悲しそうな顔をしていたけど、用事ならしょうがないねって。
阿「そっか、わかった。A、また落ち着いたらちゃんと話とかしたいから会いに来てね。いつでもいいから。ね?」
お兄ちゃんがお嫁さんにそう目で合図して、彼女もそれにコクリと頷く。その仕草さえ可愛らしくて綺麗なんだ。
「私もAちゃんともっとお話ししたいからよかったら遊びに来てね。」
『…はい、ぜひ。』
「あ、でも来るときは先に行ってくれたらうれしいな。部屋とか綺麗にしなきゃだし。」って可愛らしく笑ってる彼女に、私はちゃんと笑えただろうか。
お兄ちゃんってば幸せそうにニコニコしちゃってさ。なんなんだ、もう。わかったよ。
もともとお兄ちゃんと結ばれるなんて一ミリも思ってなかったけどさ、想い続けるくらい許されるかなって。だけどそれもやめたほうがよさそうだ。
阿「Aまた連絡するから、今度はちゃんと出てよ?」
『…うん。わかった。』
阿「じゃあ、蓮くんも来てくれてありがとう。」
目「…いえ、」
Aまたね。って私の頭を軽く撫でてスタッフさんの方に戻ろうとしたお兄ちゃん。
『お兄ちゃん、』
その背中に向かって口を開いた私に2人が振り返って。私の次の言葉に嬉しそうに、幸せそうに笑ったんだ。
だから私、それを見て心の中であぁもう終わりにしようって。今度は本当にそう思った。
『――結婚、おめでとう』
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こゆき(プロフ) - 彩花さん» 気がつきませんでした…!教えてくださってありがとうございます!とても助かりました…!! (2020年12月23日 0時) (レス) id: 7e9ebf3478 (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - れいさん» ありがとうございます…!これからも楽しんでいただけるように更新頑張ろうと思います…! (2020年12月23日 0時) (レス) id: 7e9ebf3478 (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - べぺさん» コメントくださっていたのに気づかなくてごめんなさい…!待っていてくださる方がいるというお言葉で、更新頑張れそうです!ありがとうございます…! (2020年12月23日 0時) (レス) id: 7e9ebf3478 (このIDを非表示/違反報告)
彩花(プロフ) - 何度もすみません!今日もう一度読み返してたら13ページ目のタイミングがタイミグになってました、!余計なお世話だったらすみません! (2020年12月22日 14時) (レス) id: 7fda05ffd5 (このIDを非表示/違反報告)
れい - なんとなーく更新待ってました…!再開してくれて本当に嬉しいです!これからも楽しんでいきます!! (2020年12月4日 1時) (レス) id: c0a052e646 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こゆき | 作成日時:2020年7月28日 15時