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佐「あれ、Aちゃん今日はテレビ見ないの?」
夕食が終わって後片付けをしたあと部屋に戻ろうとしたら、ソファーで寛いでる佐久間さんにそう聞かれた。
『はい、…ちょっとやることあって』
佐「そっかー、ふっかも部屋戻っちゃったし翔太は寝てるし、俺もこの番組終わったら今日は戻ろっかな」
…え、渡辺さん寝てるの?
佐久間さんの言葉に、彼の隣に座っていた渡辺さんの方を見ればたしかに腕を組んで目を閉じてる。
まだ食べ終わってから10分も経ってないんだけど。
食べたらすぐ眠くなるって子供か、なんて思ってたら、無意識に頬が緩んでたみたいで佐久間さんに笑われた。
また明日ねーとひらひら手を振ってくれた佐久間さんに手を振り返して、私は自室に向かう。
『……はぁ、』
ベットに腰掛けて溜息をつくと、私は机に置いてあるスマホに手を伸ばして電源をつけた。
お兄ちゃんA、何があったのかわからないけど一回話そう
お兄ちゃん電話でもいいから
夕方送られてきたメッセージ。
話すってなにを話すの?
なんであの家を出たのか?
それとも、なんでお兄ちゃんになんの返信もしないのか?
…ほんとのこと言ったらきっと幻滅するくせに。
気持ち悪いって思うでしょ?こんなの、
おかしいもん、実の兄のことを好きだなんて。
引き出しの奥から取り出した白い封筒は、未だにどうしていいかわからず何度も読んでは閉まっての繰り返し。
兄の結婚式まであと数日。まだなに一つ整理はついてないし、覚悟もできてない。
蓮どうするか決めた?
行くべきなのはわかってる。
お兄ちゃんの人生でたった1日しかない大事な日だし、妹としてちゃんとお祝いしなきゃいけない。
『…っ、頭冷やそ、』
ぐちゃぐちゃになる思考に、このままじゃまた頭がおかしくなりそうだったから、私はベットから腰を上げてベランダに続く窓を開けた。
私のどんよりした心の中とは裏腹に、憎いくらい綺麗な星空。
昔よく、お兄ちゃんがこの空を見ながら隣で教えてくれたな。
あれが夏の大三角だよ、とか。
お兄ちゃんの誕生日の星座のいて座はあの辺にある南斗六星を探したらわかるんだよとか。
…あぁ、ダメだな私。
頭冷やしに来たのに、またお兄ちゃんのことばっかり考えてる。
なんとなく綺麗な星を見ているのが嫌になって、腕を外に出して下の方を見ていたら、
背後でガラッと窓が開く音がした。
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こゆき(プロフ) - 彩花さん» 気がつきませんでした…!教えてくださってありがとうございます!とても助かりました…!! (2020年12月23日 0時) (レス) id: 7e9ebf3478 (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - れいさん» ありがとうございます…!これからも楽しんでいただけるように更新頑張ろうと思います…! (2020年12月23日 0時) (レス) id: 7e9ebf3478 (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - べぺさん» コメントくださっていたのに気づかなくてごめんなさい…!待っていてくださる方がいるというお言葉で、更新頑張れそうです!ありがとうございます…! (2020年12月23日 0時) (レス) id: 7e9ebf3478 (このIDを非表示/違反報告)
彩花(プロフ) - 何度もすみません!今日もう一度読み返してたら13ページ目のタイミングがタイミグになってました、!余計なお世話だったらすみません! (2020年12月22日 14時) (レス) id: 7fda05ffd5 (このIDを非表示/違反報告)
れい - なんとなーく更新待ってました…!再開してくれて本当に嬉しいです!これからも楽しんでいきます!! (2020年12月4日 1時) (レス) id: c0a052e646 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こゆき | 作成日時:2020年7月28日 15時