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その間に俺もジャケットを脱いで、Aちゃんの前に座れば、「ご飯食べますか?」なんて聞かれる。
『うん、ありがとう。』
「いえいえ、座っててください。持ってきます。」
そう席を離れた彼女を少しだけ目で追って、机の上に置いてあった資料みたいなのをチラッと覗く。
……なるほど、これがAちゃんの描いた絵か。
可愛らしいイラストと、細かい装飾。
その横に細かく赤色で文字が書き込まれてる。
「あんま見ないでください、恥ずかしいから。」
ご飯を持ってきてくれたAちゃんはそう言うと、さっと資料を除けた。
『えー、どんなことしてんのか興味あったのに。』
「見るほどのものじゃないです、」
はい、どうぞ。と俺の前に箸を置いて、ちゃっかりビールも持ってきてくれてたから遠慮なくいただく。
…あー、うま。
怒涛の仕事漬けの1週間もやっと終わり。ノルマも達成したし、来週からは普段通りの生活に戻れそう。
『もうここでの生活は慣れた?』
俺が食べるのを見てる彼女にそう聞けば、コクリと頷く。
『翔太とはどう?話せるようになったらしいけど、』
「あー、はい。なんか思ってたより話してみたら楽しかったです。」
何かを思い出したのか彼女は翔太という言葉にふにゃりと表情を緩めた。
…おっと、これはもしかして結構仲良くなった?
やば、俺本格的に置いてかれてんじゃん、
この家で俺だけ取り残されてるとか嫌だからさ、ちょっと距離詰めたいよねー。
『Aちゃん、明日暇?』
「明日ですか?暇です。」
『じゃあどっか出かけようか。越してきたばっかだし、買いたいものとかあるでしょ?』
ほろ酔いの頭でそう提案すれば、彼女は特に何も疑わずに「あぁ、そういえばちょうど買いたいものありました、」と答えた。
『んじゃ、明日駅の方行こっか。』
「ありがとうございます。」
…おっかしいなぁ、俺もしかして苦手意識持たれてる?
やっぱりまだどこか他人行儀な口調と、なかなか合わない視線。
どうしてか間に壁を感じるAちゃんと話しながら、これからしばらくは一緒に生活していくわけだし、
この週末の間にはある程度この壁取っ払ってもらわないなとな、なんて考えてた。
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こゆき(プロフ) - なべふかさん» コメントありがとうございます…!!そのように言っていただけて本当に嬉しいです泣 今後もよろしくお願いします!!体調、気を付けます! (2020年7月19日 23時) (レス) id: e5c6dc30ce (このIDを非表示/違反報告)
なべふか - コメント失礼します!!新しいStoryも素敵です*こゆきさんの言葉使いと言うんですかね…他には無い表現が読んでいて楽しいです、今後も更新頑張って下さい!くれぐれも体調には気を付けて下さい^^ (2020年7月18日 17時) (レス) id: 2b33477f89 (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - まみさん» ありがとうございます…!!一応なんとなくのオチは決めてるんですけど、まだ迷ってるのでどうなるか楽しみにしていただけたら嬉しいです!!大人な深澤さん、わかりました…!たくさん盛り込みますね!今後もよろしくお願いします…! (2020年7月18日 13時) (レス) id: e5c6dc30ce (このIDを非表示/違反報告)
まみ(プロフ) - このしぇあはうす楽しすぎます!!全員良すぎて1人に絞れません泣。しかし深澤担としては、からかってくる大人な深澤さんが更に見たいです!しかしツンなしょっぴーもかわいいさっくんも非常に上手いです!!流石です!!更新楽しみにしてます! (2020年7月17日 22時) (レス) id: 5ad6cf8e80 (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - (名前)ひなさん» コメント嬉しいです…!!私もちょっと悪な感じな翔太くんが好きなもんで笑 ありがとうございます、楽しんでいただけるよう更新頑張ります…!! (2020年7月3日 16時) (レス) id: e5c6dc30ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こゆき | 作成日時:2020年6月22日 21時