しぇあはうすの住人。

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佐「待って、この絵ってAちゃんが描いてたの！？」

『え、知ってるんですか？』

大きな目を私に向けると、佐久間さんはブンブンと頭を縦に振る。



佐「知ってるよ！お菓子の広告に使われてたじゃん。俺あのお菓子好きだから買ってたんだけど、最近パッケージ変わってこのイラストすごい可愛いって思ってたとこ！」


これでしょ？って、キッチンの奥からゴソゴソとお菓子の箱を持ってきた佐久間さんがテーブルの上に置いた。


…あ、これ。

たまたま私の描いた絵に目を留めてくれたメーカーからオファーがあってデザインしたお菓子の箱。


自分の描いた絵を自分で見るのはなんか少し恥ずかしくて、佐久間さんの言葉に少し遠慮がちに頷く。



佐「すっげー！こんなところに描いた本人いるなんて！」

お世辞とかじゃなくて本当にそう思ってくれてるんだろうなってわかるくらい綺麗な佐久間さんの瞳に、自然と頬が緩んだ。



……久しぶりだ、こんな風に真っ直ぐに褒めてくれる人。




"やっぱりAは絵が上手だね。"



佐久間さんの笑顔がなんだか、昔そう言って褒めてくれた兄に重なって。


少し懐かしさを感じて、佐久間さんの温かさにツンと涙腺が刺激される。

慌てて手に持っていた保冷剤を目に当てれば、佐久間さんが不思議そうに私を見ていた。




佐「どうしたのー？」

『ふふ、なんでもないです。』



……今なら描けるかも。


お兄ちゃんが出て行って、家にはあの人と二人きりで。

どれだけ広い家でも、どれだけ環境がよくても、どこか窮屈だったあそこでは描けなかった絵が、ここなら描けるかもしれない。





佐「うわ！待って、これ俺の嫁！！最悪、録画し忘れてた！」

朝の情報番組にたまたま現れたらしい佐久間さんの嫁(?)のアニメ特集に吸い込まれて行った彼。

佐久間さんがテーブルの上に置いたお菓子の箱を手に取って眺めながら、テレビの前ではしゃいでるその後ろ姿に苦笑いした。


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