しぇあはうすの住人。

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深「じゃあまぁ、あとはもう適当にくつろいでね、」


そう言ってヘラリと笑って自室に戻っていってしまった深澤さんを見送って。



その後も何度か震えたスマホには気付かないふりをして、

リビングに残された私はもうぬるくなってしまったアイスコーヒーを飲みながら部屋の中を見回す。




リビングには、私と、それからさっき佐久間さんの大声によって起きたらしい渡辺さんの二人きり。

何をしてるのかはわからないけど、さっきからずっとスマホを弄ってる彼は、私のことはまるで見えてないみたいだ。




そういやご飯作ると言ったは良いものの、ここの家、前の人が使っていた調理器具とかは残ってるんだろうか。



私は落ち着かなくなって、立ち上がってキッチンに向かう。

確認してみれば、綺麗なキッチンにはここ最近使用された形跡はなく、一通り調理器具は揃っていた。



食材さえあれば作れそう。


そう思って冷蔵庫を開ければ、

………何もない。


大きな冷蔵庫の中には、誰かのビールとジュースと。
そんなものしか入っていなくて。

これじゃあご飯を作ろうにも、食材がなさすぎる。



買いに行かなきゃ。

……近くに、スーパーとかあるのかな？





『……あの、』

しんとした部屋に私の声が響く。


その声が渡辺さんに向けてのものだと気づいたのか、ソファーに座っていた彼はちらりと私を見た。



『この近くにスーパーとかってありますか？』

渡「は？」



は？ってなに。

何で聞いただけなのに、そんなに嫌そうな顔されなきゃいけないんだ。


そんな不満が頭をよぎるけど相手は歳上だし、その言葉はまあ、口からは出ない。

　



渡辺さんは私と視線を絡めたまま。


……答えてくれないか。

どうやらそれ以上の会話はしてくれないらしい。





佐「あれ！？2人でなんの話してるの？」


仕方ないから自分で探して行こうとスマホを取り出そうとした時、私たちの頭上からそんな声がして。


視線を上に向ければ、佐久間さんが階段の手すりから上半身だけを乗り出してこっちを見てた。



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