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くしゃり
頭頂部に触れた手が、小さな重みとともに柔らかく私の頭を撫でた。
彼の右手にあったはずの沢山の飲み物の入った袋は左手に移動してて。代わりに深澤さんの右手は私の頭の上。
それは時間にしてきっとほんの数秒。
私の頭から手を離した深澤さんは、混乱する私を他所に平然とした顔で「うわ、アイス溶けそう」と袋の中を覗いて、いつものようにふにゃりとした、何を考えてるのかよくわからない笑顔を向けた。
「早く行こ、あいつら待ってるから」
そう言うと彼はその白い手で私の手首を取って歩き出した。そのせいで重たい私の足は、必然的に前に進む。
少し冷んやりしたその手が触れた部分がなぜだか少し熱くて、いつもの何倍も胸の奥が騒ぎ出した。
『っ、あの、』
「ほら、アイス溶けちゃうよ、」
一歩、また一歩。
深澤さんに連れられながら、少しずつシェアハウスが近づいてくる。
まだ心音が鼓膜に響いてるのは、突然腕を引かれたことに思った以上に驚いたから。きっとそれだけ。
彼の手によってギィッと音を立てて開かれた門扉。
先に歩いていく深澤さんを追って、アプローチに沿って足を進める。
さっきまであんなに重かったのにな。
中に入ってしまえば足取りは軽くなって、それに比例するように肩にかけた鞄も軽く感じる。
…早く会いたい。
一週間前までは顔も名前も知らないただの他人だったはずなのに、そんな風に思うのはどうしてなんだろう。
ガチャリと回したドアの向こう、暖かい光の漏れる家の中。
「おかえり！」
満面の笑顔を浮かべて出てきてくれた佐久間さんと、その後ろで「ねぇ、腹減った」と無造作に前髪をかきあげた渡辺さん。
それから私の方にほんの少し体を向けて、ふわりと笑った深澤さん。
3人の同居人たちに傷んだ私の心はじんわり溶かされて、
『…ただいま、です。』
そう声を発した私の唇が小さく弧を描いた。
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こゆき(プロフ) - なべふかさん» コメントありがとうございます…！！そのように言っていただけて本当に嬉しいです泣 今後もよろしくお願いします！！体調、気を付けます！ (2020年7月19日 23時) (
レス) id: e5c6dc30ce (このIDを非表示/違反報告)
なべふか - コメント失礼します!!新しいStoryも素敵です＊こゆきさんの言葉使いと言うんですかね…他には無い表現が読んでいて楽しいです、今後も更新頑張って下さい!くれぐれも体調には気を付けて下さい^^ (2020年7月18日 17時) (レス) id: 2b33477f89 (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - まみさん» ありがとうございます…！！一応なんとなくのオチは決めてるんですけど、まだ迷ってるのでどうなるか楽しみにしていただけたら嬉しいです！！大人な深澤さん、わかりました…！たくさん盛り込みますね！今後もよろしくお願いします…！ (2020年7月18日 13時) (レス) id: e5c6dc30ce (このIDを非表示/違反報告)
まみ(プロフ) - このしぇあはうす楽しすぎます！！全員良すぎて1人に絞れません泣。しかし深澤担としては、からかってくる大人な深澤さんが更に見たいです！しかしツンなしょっぴーもかわいいさっくんも非常に上手いです！！流石です！！更新楽しみにしてます！ (2020年7月17日 22時) (レス) id: 5ad6cf8e80 (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - (名前)ひなさん» コメント嬉しいです…！！私もちょっと悪な感じな翔太くんが好きなもんで笑 ありがとうございます、楽しんでいただけるよう更新頑張ります…！！ (2020年7月3日 16時) (レス) id: e5c6dc30ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こゆき
| 作成日時：2020年6月22日 21時
