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5曲目 ページ6

「おはようございます!今日もいい天気ですね!」
「おはよう!そうだな!さぁ、今日も頑張って仕事するか!」

村のみんなは外に洗濯物を干したり、畑仕事をしたりしていつも通りの1日を過ごしていた。
僕もそのうちの1人で、香水の材料になる花を、いつもの花畑に摘みに行ってたんだけど、そこであいつに会ったんだ。
いや、あいつが来たの方が正しいかな?
僕が花を摘んでいたら、1人の少女がやってきたんだ。
16、7歳ぐらいの子かな?
とても貧しい身なりでさ、服はボロボロで髪はボサボサ。
そして、とても綺麗な花たちを目の前にしても、ずーっと無表情だったんだ。
僕は、少し気になってその少女に話しかけたんだ。

「お嬢さん!何してるんだい?」
「...。」
「あ、具合でも悪いの?大丈夫?」
「...ぃ。...に...な。」
「え?」
「うるさい。私に話しかけるな。」
「そ、そんな言い方無いだろ!」

少女はすくっと立ち上がるとそのまますたすたと歩いて行ってしまった。

「お、おい待てよ!」
「しつこい。話しかけるな。」
「このっ...!」

その時、周りの空気が熱くなった。
よく見ると少女の足元の花が燃えている。
いや、違った。
女の子が燃えていたのだ。

「なっ...!」
「どうしたの?言いたいことがあるならはっきり言いなさいよ。」

もっと炎が強くなった。
僕はその時気づいた。
そう、今目の前にいるこの少女が、邪神だった。
噂によれば、泣けば大雨が降って洪水が起こり、怒るとみんな燃え尽くされてしまうという。
バカな僕でもやばいと分かった。
村のみんなに知らせないと、みんなが危ない。
早くしないと。
でも、そのとき薄々感づいてはいたんだ。
僕は村に戻った。
いや、村だった場所に戻った。
そう、もう村は跡形もなく燃えてしまっていたのだ。

「あ...。」

その時何か足で蹴ってしまった。
それは、真っ黒に焼け焦げたナニカだった。
その真っ黒なナニカの前で立ち尽くしていると、後ろから足音が聞こえてきた。
もしかして村のみんなかもしれない。
そうだ!きっとこれは夢だ!
そう思って振り返った僕のかすかな希望は簡単に破り捨てられた。
足音の正体は、邪神だった。
「あ、そうそう村の住民ならみんな焼いちゃった。うるさくてうるさくてしょうがないんだもの。」
「く、来るな!」
「あーすっきりした!みんな叫びながら死んでいったわ!あとは...貴方だけよ?」
「うわぁぁぁぁ!」

最後に僕の目に写ったのは、怒りと憎しみに歪んだ邪神の顔だった。

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作者名:ほしみあ | 作成日時:2016年5月28日 23時

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