4曲目 ページ5
黒猫は、なぜこんなにも綺麗な部屋にいるのにパルファンは悲しそうなのか分からず、首を傾げていると、
「僕はね、この町で生まれ育ったんじゃないんだ。」
とパルファンは言った。
「僕の出身地は、『雲の村、ニュアージュ』なんだ。」
黒猫は驚いた。
なぜならそう、パルファンがあの事件の被害者だったからだ。
「さっき記者の人が来たけど、ただでさえ思い出すのが辛いのに、その話が書いてあるものが世界中に何百、何千と配られたら、見たくなくても目に入ってしまうからね。だから話さなかったんだ。」
パルファンはあの事件で心に大きな傷を負っていた。
今にも泣きそうな顔をしている。
しかしパルファンはこう言った。
「でも、君になら話していいかな。」
黒猫はまた驚いた。
なぜ自分のような言葉が通じているのか分からないような動物に話そうとしてくるのか、全く理解出来なかった。
「だって君は優しいからさ。」
黒猫はもっと訳が分からなくなった。
パルファンは自分のことを知っているのか。
そもそもパルファンは何者なのか。
「聞いてもらってもいいかな...?」
黒猫の答えは、もちろんイエスだった。
ここまで来たのはそのためだったのだから。
(さっきまで忘れかけていたが。)
黒猫はコクリと首を縦に振り、青年の話に耳を傾けた。
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作者名:ほしみあ | 作成日時:2016年5月28日 23時