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3曲目 ページ4

?「はーい。」

返事と共に扉を開けて出てきたのは、ふわりと甘い香りをまとった、まだ10代ぐらいの青年だった。

記「突然すみません。あの、事件の詳細をお聞きしたく、こちらのお宅まで伺ったのですが、あなたが事件の被害者の方で合っていますか?」
?「あー人違いですよ。」
記「あ、すみませんでした。」
?「いえいえ、大丈夫ですよ。よく間違われるんです。」
記「本当にすみませんでした。それでは、急ぎますのでこれで失礼します。」

記者はさっさと行ってしまった。
しかし、もう黒猫には記者に着いていく気力はない。
お腹が空いているし、たくさん歩いて疲れているし、こんな様子じゃとても歩いていけない。
しかしそんなことを考えているうちにどんどん記者は遠ざかっていく。

?「大丈夫かい?」

さっきの青年がまだそこにいた。
もう家の中に入っていたものと思っていたが、どうやら黒猫の様子を見て心配し、黒猫が歩き出すのを待っていたようだ。

?「僕の家にお入りよ。少し休んだ方がいい。」

青年はそう言うと、黒猫を抱きかかえて家の中に戻った。
家に入ると、さっき青年から花の香りがした理由が分かった。
青年の家の中は、様々な花でいっぱいだったのだ。
赤や青、黄色に白。
本当にたくさんの花でいっぱいだった。
そして、部屋の壁が見えなくなるほど棚がたくさん置いてあり、さらにたくさんの小瓶が棚を埋め尽くしていた。
黒猫が部屋をぐるっと見回していると、青年が言った。

?「僕はここにある花で香水を作っているんだ。この部屋にある棚に置いてあるビンの中身は、全て香水なんだよ。」

香水はとても綺麗な色で、窓から入ってきた外の光を反射してキラキラとステンドグラスのように部屋を照らしている。

?「あ、自己紹介がまだだったね。僕はパルファン、香水職人さ。」

そう言うと、パルファンは悲しそうに笑った。

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作者名:ほしみあ | 作成日時:2016年5月28日 23時

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