[WT]短編集！

[愛亡き毒で終焉を飾る]※続き ページ19

スマイル視点



今日もいつもと変わらない
いつものように、共に同棲しているパンダのフードをかぶった男……パンダさんと本を読む
パンダさんというのは俺が勝手につけた名前だ


TV「続きまして、三日前に男二人の遺体がとある公園で、…」

男二人の、遺体？
パンダさんが目を見開き、驚きを隠せず固まってしまっている
何かと思い、テレビをまじまじと見ているとその亡くなった二人の男は……両方知っている気がする
違う、知っていなきゃいけない存在だった……？
何かが思い出せそうだけど、何も……

TV「速報です、今朝とある一室にて毒殺された男性とナイフで刺殺された男性の遺体が発見され、…」

Na「ぁ……ぇ……？ウソ、……きんとき達まで……？」

きんとき……？
パンダさんは確かにきんときと言う誰かの名前を言っていた
……聞き覚えのあるような、何処か懐かしいような、そんな名前だった
いつも俺の近くには五人いたような……？

sm「ぅ……ぁ"あ"……！」

思い出した、テレビで遺体として発見された彼らは俺の大切な……
でも……パンダさんのことだけはどうしても思い出すことができなかった
思い出した記憶の中にはいつも彼がいるというのに、俺は彼のことがわからないままだ
一番大切な何かだった気がするけど、肝心なところだけ思い出すことができなかった
パンダさんの顔を見ればなにか思い出せるかと思い、パンダさんの部屋に行く

sm「パンダさん？お邪魔するよ……ぇ、ぱ…ん、だ、さ…ん……？」

目の前に広がる光景はとても残酷なもので、ベットで幸せそうに息絶えているパンダさんの姿
胸元にはナイフが突き刺さっており、持ちての所に両手を添えている辺り、自ら突き刺したのだろう
……完全に思い出した、彼はパンダさんなんかじゃない
俺の一番大切な、恋い焦がれていた……彼の本当の名は……Nakamuだ
全てを思い度した今、どうすることもできずに泣き崩れ、目を開けてくれと悲願する
だが……彼は瞼を開き、水色の美しい瞳を見せることはもうない

sm「……ははっ、なかむ、皆……俺も今、いくから待っててくれ」

なかむの胸からナイフをそっと抜き取る
ナイフはなかむの紅で美しく見えた
なかむに軽くキスを落とし、紅々と輝くナイフにもキスをする
口の中には鉄の味が広がってきた

sm「遅れてごめんな？今、向かうから＿＿＿」

皆に会う為に、彼にまた……抱きしめてほしくて
冷え切った彼を抱きしめ、己を貫く



さよなら世界、また逢う日まで

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