[WT]短編集！

[愛のない毒で終焉を]knkr※死ネタ ページ16

きんとき視点



最近、きりやんの様子がおかしい気がする
前のようにくっついて来なくなったし、触らせてもくれない
それに……最近彼の周囲で、頻繁に生き物が死んでいるという話を聞く
一体何があったのかと思い、彼が厠に立っている今、申し訳ないけど彼のスマホを覗かせてもらった

kn「おっと……らー、ば？」

聞いたことのない病名だった
検索履歴を見るに、彼はずっとこの病気について調べていたらしい
オットラーバ……体から毒を生成し、他者が触れると死に至る奇病なんだとか
もしきりやんがオットラーバを患っていたら？
一つ一つパズルのピースを合わせるように整理していくと……全ての辻褄が合う

kr「あれ、何かあったの？きんとき」

kn「きりやん……正直に話してほしい」

嘘だと言ってほしかったのかもしれない
スマイルが奇病を患い、ブルックとシャークんが行方不明になって……今度はきりやんなの？
もし神がいるって言うならさ……もうこれ以上、俺から大切なものを奪っていかないでよ……
きりやんすらもいなくなってしまったら、俺はもう……どうしたら良いんだよ

kr「……ごめん、俺、さ……病気に……なっちゃったらしいんだ」

俺の望んだ答えは返ってくることなく、予想していた最悪の言葉が返ってきた
もう……何も失いたくないってのに、さ
何かが吹っ切れた俺はきりやんの唇に触れるだけのキスをする
彼から離れるのが嫌で、離れていかないでほしくて
唇が離れた途端、苦しくなり……吐血した

kr「き、きんとき！？」

kn「大丈夫……大丈夫だか、ら……さ？」

あーあ……きりやんは嘘だって、絶対わかってるんだろうなぁ
だって、今の彼は今にも泣き出しそうで、とても悲しい顔をしているから
だんだん身体に力が入らなくなっていき、真鍮色の彼の懐に力なく収まる
震える手できりやんの頬に触れる
ああ……温かい、俺の良く知る彼のぬくもりだ
俺の手を必死に握り、不安と焦りの目で俺を見つめる彼に……最後の言葉を、残りの力全てで紡ぎ出す

kn「最後に……君に、あえ、て……触れられて、良かった……よ……」


愛する者の前で最後の微笑みを

[愛のない毒で終焉を]※続き→←[亡き後湧く想い]※続き

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す