157 ページ14
「お腹すいた。」
「もうそんな時間か。食堂に行こうか。」
「うん。こんな時間にお昼寝したから夜、寝られなさそうだな…仕事でも片付けるか…」
起き上がろうとした私をエルヴィンが片手で肩に担いだ。
とたんに景色が逆さまになる。
＿＿＿え、筋肉どうなっているの。
そのまま廊下に繋がるドアに向かって歩き出した。
「ちょっと！！落ちる！！」
「A。」
「ん？」
暴れる手を止めた。
「寝られないのら今夜…疲れて眠るまで付き合ってあげるが？」
「…！」
顔は見えないけど絶対に悪魔みたいな顔してる！！
「は！？何言っているの！！」
バシッと思いっきり背中を叩いた。
「痛っ！」
廊下に出るドアの前で降ろされ見上げたエルヴィンが予想通りの顔で私の顔を覗き込んだ。
「何を勘違いしている。仕事をだよ。」
「！！！！！！！！！」
勝ち誇った顔で見下ろされた。
「だっ…！」
全く違う事を考えていたのがバレてクッソ恥ずかしい。
プイッとエルヴィンに背中を向けた。
もうその場に居たくなくてドアを蹴り飛ばそうと足を上げた時
肩に腕がまわりグッと後ろに引っ張られた。
そのまま後ろから覆い被されドアに押し付けられる。
後ろから私の耳元に彼の顔が寄った。
「嘘。一緒にいよう。」
「…っ！！」
もう顔が熱いのが自分でも分かる。
フフッと笑う彼の吐息がくすぐったい。
固まっている私にエルヴィンが最後に耳をペロッと舐めて廊下に出て行った。
＿＿＿＿負けていられるか。
すぐエルヴィンを追って廊下に出て彼の横に並んだ。
ニヤけそうな顔の全ての筋肉を使って何も無かったように歩く。
ものの３秒で仕事中の団長と秘書の構図か完成した。
普段通りに「お疲れ様です。」とすれ違う兵士達に声をかけられた。
それだけいつも通りの表情。
「A。顔の筋肉の構造はどうなっているのだ？」
「それはエルヴィンにも聞きたいけど？」
目を合わせずにフッと2人で笑った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 59人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
サキ(プロフ) - はじめまして。最初は長編なので少しずつ読もうと思っていたのですがあまりに投稿者様の文才が素晴らしくて最後まで一気に読み切ってしまいました。いままで物語を読んでこんなに泣いたのは初めてです。そして完結お疲れ様でした。ありがとうございました、 (2020年9月26日 0時) (
レス) id: 18417183d4 (このIDを非表示/違反報告)
月夜(プロフ) - 最後まで読ませていただきました。最後までお互いを想う夢主とエルヴィンがかっこよかったです。めちゃくちゃ感動しました。二次小説でこんなに泣いたのは初めてです。ありがとうございました。 (2020年6月18日 17時) (レス) id: 8d864751da (このIDを非表示/違反報告)
サラミ - 最後まで読ませていただきました。最高です。泣きました。語彙力が無くなるぐらい素晴らしい小説でした。最期まで夢主を想うエルヴィンがほんっとにカッコよかったし素敵でした！感動をありがとうございました！ (2019年12月28日 21時) (レス) id: dd11928539 (このIDを非表示/違反報告)
MAO(プロフ) - ラストは、涙が出て止まりませんでした！感動する話でした。ありがとうございます！ (2019年11月15日 10時) (レス) id: 4d3a61d5d2 (このIDを非表示/違反報告)
にし(プロフ) - 完結お疲れ様です。ラストの方で号泣しました！ほんとに、小説でこんなに涙を流したのは久々です！素敵なお話をありがとうございました。 (2019年9月22日 23時) (レス) id: 42ce589bfe (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：じゅく子 | 作成日時：2019年8月20日 21時
