雪男の10人目くん

【日常】気掛かり ページ17

それからAが帰ってくることはなく、ライブ終了後全員でAが搬送された病院に向かった。


案内された個室には沢山のチューブが繋がれたAが眠っていた。血相は少し良くなったけどまだ青白い。

ru 「A、無理しないでって言ったじゃん…」

弱ったAの姿を見て、抑えていた涙が一気に溢れたラウール。康二もしゃがみ込んだ。

mg 「ごめんな、守ってやれなくて」

冷たい手を握って頭を撫でてやることしか俺には出来なくて、あの時のあの文字が頭の中にフィードバックした。もし俺が反対側に乗っていたらAはこんな事にはならなかったのに。

iw 「お前のせいじゃないから、あんまり自分責めんなよ」

メンバーにはうちわの話はしていたからみんな俺の事を気遣ってくれるけどやっぱり自分が許せなくて、上手く言葉には表せないけど、何か、苦しい。

俺も加入組だからよく分かる。ダンスとか歌とか体の疲労よりも、ファンの声が一番キツかった。「6人が良かった」「早く辞めろ」そんな言葉を沢山言われて始めの頃は辞めたいと何度も思った。1年経った今じゃかなり減ったけど、連ドラとか雑誌とかメディアの露出が多いAは特に被害を受けやすい。
あんな言葉を目の前にしてどれだけ辛かっただろう。Aの手を握る俺の手は気が付けば自分の涙で濡れていた。



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『みんな、迷惑かけてごめんなさい』


あれから1週間。Aはすっかり元気になった。ネットニュースにも載ってしまったからファンの方からの心配の声も沢山届いてて、そしたら『こんな寝てる場合じゃない！』とか言って元気になっちゃって。ついでにメンバーのAへの過保護度合いはかなりアップした。

『あの時はありがとうね』

mg 「お前すっげえ震えてるし死んじゃうかと思った」

『なわけ(笑)僕が死ぬ時はめめと一緒だよ』

mg 「え、なにそれ告白？」

『かもね？』

こういうバカップルみたいな会話してる時が1番幸せ。



この先まだまだ大変な事がいっぱいあると思うけど大丈夫だよ、A。俺が守るから。

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