婦人警官 J ページ10
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______我輩はモブである。名乗るほどの名前はまだ無い。
二年前、例のお偉いさんによって来たくもない捜査一課に飛ばされた私は、仕方がないので教育係になった伊達さんの下で地味に仕事をこなしつつ、ついでに警部補に昇格しておいた。
ここまで来て目標が無いというのもある意味清々しいものである。
目的も結局果たせてんのか分かんないしな。
だがしかし、神はまだ私を見捨てては居なかったようで。
捜査一課も今年で二年目の今日、私に転機が降ってきた。
なんと本日、この二年間の間にめざましい成果が一つも挙げられなかったということで、捜査一課を異動することになったのだ。
しかも異動先は警視庁交通部交通執行課。
天は私に味方した!!
「まさかお前が異動になるとはな……向こうでも頑張れよ。いつでも連絡してこい」
「うっす。二年間お世話になりやした。伊達さんの方も、二人目の教育係頑張ってください」
「あぁ。次もお前みたいに骨のある奴だと良いんだがな」
「骨は全人類にあるので安心して大丈夫ですよ。良かったですね」
「お前ってたまに抜けてるよな」
希望の部署への異動。
それはシンプルに嬉しい知らせだったが、二年間お世話になった伊達さんに寂しそうな顔をされると、私のような人の心を捨てたやつにも少しだけ罪悪感。
いや、伊達さんは本当に良い上司だった。
松田くんと萩原くんを避ける理由に対して「イケメン恐怖症だからです」とかふざけたこと抜かした私に、「そうだったのか、嫌な記憶思い出させて悪いな」って謝罪してきた時は本当にマジで仏か何かかと思った。
精々例の彼女さんと幸せに暮らしといてください。
「______アンタが今年から入った新人ねぇ。私はアンタの教育係担当の宮本由美よ。精々扱いてやるから覚悟しなさい、新人」
「宮本さんですね。了解です。骨三本くらいは覚悟しときます」
「アンタ今までどんな風に扱かれてきたの???」
え、普通に現場に駆り出されたりとかですけど何か。
伊達さんってそんなビシバシ指導するような人じゃなかったしな。上司の鏡でしかなかった。
まぁでも、たまに犯人に抵抗されて持ってた刃物が腹部に突き刺さったりしましたけどね。
死んでなけりゃ全てOKです。
「まぁ、良いわ。それよりまずはここでの仕事を覚えてもらうから、早速ついて来なさい新人」
「了解でーす」
因みにその後、配属初日にして宮本さんの運転する車に乗った私は、割と本気で三途の川を見た。
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メル(プロフ) - これはまじで神作だわ、、初めてここまで鳥肌のたつ作品に出会えました。 (4月19日 21時) (レス) @page35 id: 4a64b135ae (このIDを非表示/違反報告)
脱兎@さき(プロフ) - これが神作ってやつか…………最高すぎました (4月15日 18時) (レス) @page35 id: 474e2f0f3d (このIDを非表示/違反報告)
向日葵蜜柑 - 好きです(唐突な告白) (6月15日 7時) (レス) @page35 id: d4d5a8cd26 (このIDを非表示/違反報告)
めいめい(プロフ) - やばい、すき (6月12日 21時) (レス) @page35 id: 19d12ec8ba (このIDを非表示/違反報告)
陽毬(プロフ) - 構成から何からもう最高に格好良過ぎ大好き。夢主は当然設定とその小出し方がもうほんとドタイプだし終わり方も最高過ぎた……。まじで良いお話ありがとうございます (5月30日 12時) (レス) @page35 id: 22cb640d25 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:無糖 | 作成日時:2022年4月29日 0時