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後輩についての考察 ページ23









______可愛川Aがどんな奴だったかと聞かれれば、俺は即答で「交通課に異動させちまうには勿体ない奴だった」と答えるだろう。



出会いは今から三年前の10月。

警視庁公安部から異動という異例の経歴で俺の下についたソイツは、一見すると、どこにでも居る普通の奴だった。



常日頃から人生をボーッと生きていて、それでいて定期的に声をかけてやらないと、一人でどっかにフラフラ歩いていっちまいそうな、そんな危うさも兼ね備えていて。



しかしそうかと思えば、誰も気づけなかったような証拠にいち早く気づいて、相手の先の先の手まで読んだ動きを披露し、俺達をあっと驚かせる。





降谷の時も思ったが、二年も一緒に居るうちに、コイツには勝てねぇって何度も思わされたよ。


こんなにすげぇ奴が近くに居たのに、警察学校時代の俺はなんで気づけなかったんだろうな。







そんなかつての後輩の話を、俺が現在教育係を担当している高木に話すと、高木は「そんな凄い人が僕の前に居たんですか……」と感心した様子でコーヒーを煽っていた。



アイツみたいな奴はそうそう居ねぇだろうから、後輩の教育のためにも一回合わせてやりてぇもんだ。








「その人は今、捜査一課に残ってるんですか?」


「いや、アイツは交通課に異動になったよ。二年もの間犯罪検挙率が0だった、って理由でな」


「えっ、でも伊達さんの話だと、かなり優秀な人だったんじゃ……」


「あぁ、馬鹿みたいに優秀な奴だった。……だからこそ、俺も最近まで気づけなかったんだが、」








______アイツが解決した事件は、全て俺が解決したことになってた。



そう言ってコーヒーを煽る俺に、高木は驚きが隠せないと言った様子で目を見開いていた。

俺もその事実に気付いた時はそんな顔してたのかもな。




……アイツが、可愛川が一体、どんな理由で犯罪検挙率0を保っていたのかは、俺も未だに分からない。


そしてその答えを知る術を、俺はとっくに失ってしまっていた。




何もかも遅過ぎたんだよな、俺は。








《あぁ、可愛川なら二ヶ月ほど前に退職しましたよ》


「……は?」









アイツの手柄が全て俺のものに書き換えられていたと知って、慌てて交通部に掛けた電話で告げられたのは、そんな衝撃の内容だった。




二ヶ月前ということは多分、一ヶ月前に可愛川の異動先を教えた松田も、同じ内容を聞かされたのだろう。


……本当に、どこまでも予測不能だよ、お前は。








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メル(プロフ) - これはまじで神作だわ、、初めてここまで鳥肌のたつ作品に出会えました。 (4月19日 21時) (レス) @page35 id: 4a64b135ae (このIDを非表示/違反報告)
脱兎@さき(プロフ) - これが神作ってやつか…………最高すぎました (4月15日 18時) (レス) @page35 id: 474e2f0f3d (このIDを非表示/違反報告)
向日葵蜜柑 - 好きです(唐突な告白) (6月15日 7時) (レス) @page35 id: d4d5a8cd26 (このIDを非表示/違反報告)
めいめい(プロフ) - やばい、すき (6月12日 21時) (レス) @page35 id: 19d12ec8ba (このIDを非表示/違反報告)
陽毬(プロフ) - 構成から何からもう最高に格好良過ぎ大好き。夢主は当然設定とその小出し方がもうほんとドタイプだし終わり方も最高過ぎた……。まじで良いお話ありがとうございます (5月30日 12時) (レス) @page35 id: 22cb640d25 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:無糖 | 作成日時:2022年4月29日 0時

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