名乗るほどの者ではございません 【警察学校組】

警察学校同期 C ページ3

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＿＿＿＿＿＿我輩はモブである。名乗るほどの名前はまだ無い。



大学を卒業して警察官になった私は、早速世界は広しということを学びました。


私はまだまだ井の中の蛙だったんですね、お母様。



ところで、この前お母様から送られてきた要らない古着、とんでもなく処分に困っているので、今度から私をゴミ処理に使うのはやめてください。次要らないもの送ってきたら怒りますよ。いやほんとに。





…………気を取り直して。



私が世界は広しと学んだ理由は一つ。

入学生代表がとんでもないハーフイケメンだったから。



紹介が遅れたが、ここは警察官の卵を育てる警察学校である。


今はその入学式の最中。



神は二物を与えないとはよく言うが、壇上に登場したのは、どう見ても二物どころか百物くらいは与えてそうな主席だった。





この世は不条理だ。私にも世界一の美貌とスタイルと知能を寄越せ。







「うわぁ、あのワンハンドレッド主席と同じ教場じゃん。詰んだ」







教場分けの表を見て真っ先に顔が歪む。


幸い席は遠そうだから問題ないか。

というか、一番の問題を考えたら、ワンハンドレッド主席が一緒の教場なんて正直しょぼい問題である。




……何故萩原くんと松田くんまで居るんだ。

君達明らかに工学系の職種に就く感じだったじゃないか。



部署によっては爆弾を解体するからある意味工学だって？

やかましいわ。








「＿＿＿＿＿＿それではこれより、伊達航の班のメンバーを読み上げる。



　萩原研二

　降谷零

　松田陣平

　諸伏景光



　……以上だ」








シーンと静まり返った教場内。

一番右側の席で私は密かにガッツポーズを決める。




ふー！あぶねー！あんな猛者揃いのとこにぶち込まれたら家畜の餌になるとこだったわ。



萩原くん松田くんは相変わらずだろうし、主席は言わずもがな優秀、主席と親しそうな彼も多分化け物だし、そんな彼らの班長は恐らく前世が猛獣使いだ。

絶対に手綱を離さないでいただきたいものである。








「君って確か、同じ教場の人だよね？」








言ったそばから離さないでほしい。

主席さん、貴方んとこの子犬が迷子ですよ。連れてってください。



……なんて言えるわけもなく、食堂までの道のりで出会った彼に「多分そうです」と返しておく。








「あぁ、やっぱり？珍しい苗字だったから、記憶に残ってたんだ」








うん、高校の時の旧姓に戻そうかな。


……いや無理だ。そうしたら折角短髪にしたことでバレてない例の二人にバレる。




詰んだ。







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