電話についての考察 ページ16
．
＿＿＿＿＿＿上野Aに対する印象は、卒業式辺りから萩がやたらと気にするようになった女、という所だろうか。
高校二年の時、初めて顔を合わせた時から、なんとなくこいつは目立ちたくない奴なんだなと感じた。
だからこそ萩が上野に話しかけに行った時は「お前マジか」と本気で思ったし、同時に「やめてやれ」とも思った。
萩が話しかけたことで、背中にグサグサと突き刺さる女子の嫉妬の眼差し。
直接浴びている上野がそれに気づかない筈もなく、当時は名前も知らないアイツに同情したっけな。
……まぁ結局、それから上野と話す機会もなくて、俺の方もつい最近まで忘れていたのだが。
「＿＿＿＿＿＿陣平ちゃん！見ろよこれ！高校ん時に撮った集合写真見つけちゃった」
そんなある日の帰省中。
帰省ついでに実家の模様替えを手伝いながら、重たい机やら棚を親父と協力して動かしていると、突然俺の元に一人の来客があった。
それが今、玄関扉を開けた俺の眼前に、高校二年の時に撮った集合写真を突きつけている萩原という男である。
つい数時間前まで同じ新幹線に乗っていたというのに、なんでまたこいつの顔を見なくてはならないのか。
ぶん殴ってやろうか。
＿＿＿だが、この時の俺はまだ知らなかったんだ。
その写真がまさか、俺たちと上野Aを繋ぐ、予想外の架け橋となることを。
「……え、てことは、あの時俺を助けてくれたのも上野ってこと？」
「助けてくれた……？なんの話だ？」
「ほら、前に話したじゃん。例のマンションの爆発事件で、俺を盾で守ってくれた子がいるって」
俺の偶然の記憶によって、大学時代に上野と間違えた女が、実は警察学校で同期の可愛川Aだと分かり。
萩の推理によって、大学時代に人違いした女がやっぱり上野だと分かった俺達は、必然的に可愛川Aと上野が同一人物であるという結論に至った。
可愛川Aというのは、さっきも言った通り俺たちの同期で、かつ萩がとある事件をきっかけにうっかり惚れてしまった元機動隊の女だ。
とはいえ、可愛川がどこの隊に所属しているのかを割り出した時には、既に彼女は爆弾を投げ捨てた責任を問われて、警察組織をクビになっていたのだが。
その後の消息は誰にも分かっていない。
……そういや、交通課の宮本が一年くらい前、“珍しい苗字の後輩が入ってきた”とかなんとか言ってたような気が……
…………いや、まさかな。
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2256人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
メル(プロフ) - これはまじで神作だわ、、初めてここまで鳥肌のたつ作品に出会えました。 (4月19日 21時) (
レス) @page35 id: 4a64b135ae (このIDを非表示/違反報告)
脱兎@さき(プロフ) - これが神作ってやつか…………最高すぎました (4月15日 18時) (レス) @page35 id: 474e2f0f3d (このIDを非表示/違反報告)
向日葵蜜柑 - 好きです（唐突な告白） (6月15日 7時) (レス) @page35 id: d4d5a8cd26 (このIDを非表示/違反報告)
めいめい(プロフ) - やばい、すき (6月12日 21時) (レス) @page35 id: 19d12ec8ba (このIDを非表示/違反報告)
陽毬(プロフ) - 構成から何からもう最高に格好良過ぎ大好き。夢主は当然設定とその小出し方がもうほんとドタイプだし終わり方も最高過ぎた……。まじで良いお話ありがとうございます (5月30日 12時) (レス) @page35 id: 22cb640d25 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：無糖
| 作成日時：2022年4月29日 0時
