風の声を尋ねる (ページ9)

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ウェンティ「オーナー」

ディルック｢……｣

ウェンティ｢おや？今日は珍しくディルックもいるみたいだね｣

''ディルック''と呼ばれた赤い髪の彼はこちらを見るとやや嫌そうな顔をした……気がする。

ディルック｢君か…今日こそきちんと払ってもらうぞ｣

『ウェンティ……まさか盗人だったの？』

ウェンティ｢違うよ～｣

彼は嘘泣き状態で告げる。

ウェンティ｢よし、じゃあ今日もお題は僕の詩で！｣

ディルック｢……｣

『あの、自分が代わりに払うので…』

ディルック｢いや、それは…｣

ウェンティ｢ありがとう、A！｣

｢『…………』｣

ウェンティは満面の笑みを浮かべた。

反省の色など見えない彼をサンドバックにしたいと思う僕はきっと間違ってはいないと思う。

ディルック｢君も大変だな｣

『まぁ、もう慣れたから』

ウェンティ｢ディルック、2階の席を貸切にしてくれないかな？｣

ディルック｢予約をしていないのにも関わらず…まぁいい。運良く今日は空いているからな｣

ウェンティ｢ラッキーだったね！｣

✧••┈┈┈┈┈┈••✧

ディルックに案内され、2階の席に腰を下ろす。

ウェンティ｢君はもう飲める歳？｣

『どうでしょうね』

ウェンティ｢おっ、あくまではぐらかすかぁ｣

まぁ、実際自分の実年齢を知らないのだから…

これで飲めなかったときが怖いしね。

『ウェンティ』

ウェンティ｢ん？何～？｣

彼は木製のジョッキを片手に｢美味し～！｣と感想を述べながら返事をする。

『わざわざ2階に来たってことは秘密裏に話したいことがあるんでしょ。

さっきも、本当は2階が今日空いてることも分かってたんじゃない？』

ウェンティ｢ふふ、どうだろうね｣

『あくまではぐらかすか』

ウェンティを真似てそう言ってみる。

ウェンティ｢確かに、君に聞きたいことがあったからね｣

『…………そう。

それで、聞きたいことって？』

ウェンティ｢君は……

一体何者？｣