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走って、走って、走った。
足がもつれて、エマが転ぶ。
ノーマン「エマ!」
エマ「………"鬼"はッ…想像上の生き物で…みんなは、里子に…!
ママは…いつもの優しいママだよね…?
荷台の、あの子…コニーじゃなかったよね?」
震えた声と、震えた手。
私にすがりながら、エマは顔を青くさせていた。
『…あれは、あれは……』
中々言い出せない私は
忘れられないコニーの姿を思い出し、吐きそうになった。
そんな私の肩に手を置いて、
ノーマン「あれはコニーだった。」
残酷にも、優しくも、ノーマンがそう言った。
エマ「うっ………あぁ…!」
優しくて、甘い彼女は
誰もいない森に囲まれたこの場所で、
泣き叫んだ。
私はそんなエマを抱きしめる。
私自身の震えを見て見ぬふりするように。
痛かったよね、苦しかったよね、怖かったよね
コニー、
最後…何を思った?
もしかしたら、私たちに助けを求めたかもしれない。
ママでない、ママにすがったかもしれない。
想像できるようで、想像したくない。
12歳になる前にここを出ていく。
次は、
私たち4人の誰かかもしれない。
逃げないと、
逃げなければ、死んでしまう。
『逃げよう、ここを出るの。外はどうなってるか分からない。図書室にある本は、役に立つか分からない。
それでも、生き延びるには、逃げるしかない』
ノーマン「…そうだね、大丈夫。きっと逃げられる。エマと、レイと、Aと、僕。4人ならきっと…」
エマ「無理、なのかな……。ここに残せば確実に殺される。
置いていけない、これ以上家族が死ぬのは嫌だ…!」
優しくて、甘いところがエマの弱点。
それでも、そんな彼女に惹かれたのは私たちで。
ノーマン「…無理じゃない。大丈夫、みんなで一緒にここから逃げよう」
『………私たちなら、家族みんなで逃げられるよ。だから…だから、考えよう?』
そんな彼女が泣いたから、
私たちは笑った。
自分の気持ちを殺すように、笑った。
エマ「……___うん」
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レイ「おかえり。どうだった?」
ノーマン「間に合わなかった」
レイ「……あっそう。」
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作者名:+1 | 作成日時:2023年11月4日 13時