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レイside
イザベラ「遅かったわね」
レイ「ノーマンと話してた。」
イザベラ「それであの子たちは?」
レイ「特に変わりなし。鬼ごっこ訓練に夢中。それよか、あの補佐だ。また動きだした。気をつけた方がいい。」
俺はママのいる部屋に入って、牧羊犬として動く。
レイ「補佐なんて呼ばなきゃ良かったのに。アレ、俺への抑止でしょ?」
イザベラ「…」
レイ「抜かりがないのはいいけど、悲しくなる。6年ママに尽くして未だ警戒されているとはね」
イザベラ「万一のためよ。あなたのこの6年間の働きは素晴らしいわ。信用している。
でもそもそもあの日あなたがちゃんと機能していればこんな事態には、なっていないのよ。」
確かにそれはそうだ。
でも、こっちにも計画がある。
イザベラ「まさかあなたが留守番のひとつも満足にできない無能犬だなんて思ってもみないじゃない。」
レイ「悪かったよ。だから挽回したろ、内通して。
親友も売ったし、好きな人も売った。シスターの不穏も逐一教えてやる。
報酬はきっちり貰うよ」
イザベラ「もちろんよ。取引だもの。」
あの日決めた。
残りの命をどう使うか。
俺は、親友と好きな人のために使うよ。
部屋から出て
みんなが寝る寝室の方へ足を運ぼうとすると、
レイ「…まだ起きてたのか」
『フィルと本読んでたの。レイは?』
レイ「ノーマンと話してた。喉乾いてそのまま」
『………嘘が下手になったね』
グッと近づいてきて、心臓が大きく跳ねた。
『ノーマンはもう寝室にいるし、私は本を読み終えたあと、水飲んでたから』
レイ「………どこにいるかわかってて聞いたろ、それ」
『まぁね。』
レイ「……なんも言わねぇの?」
『言って欲しいの?』
レイ「や、わかんね…。」
『____少しだけ、風に当たりたい』
レイ「ん」
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作者名:+1 | 作成日時:2023年11月4日 13時