羨望 ページ10
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「A!真理!お昼食べよー」
四時間目のチャイムが鳴り終わった瞬間、美紀がこちらに向けてブンブンと手を振りながら名前を呼んできた。ああ、あんな仕草が似合う美紀がうらやましい。あれは私がやってもぶりっこにしかならない。
少しブルーな気持ちになりながらお弁当を抱えて二人の側に行こうとすると
「あかーし!!」
騒がしい教室内によく響く元気そうな男子の声が聞こえてきた。とっさに振り返るとドアの近くにミミズクのような髪型をした背の高い男子が「弁当食べようぜ!」と赤葦を呼んでいる。
確か、男バレの主将。木兎光太郎さんといったか。全国でも五本指に入るすごいエースらしい。彼の存在は梟谷の男バレが有名な理由の一つでもある。
それにしてもうるさそうな人だな。と思っていたけど赤葦と話しているうちに静かになった。もしかしたら木兎さんは自由奔放に見えて実際は赤葦が手綱を握っているのかな?と考えていると何故か木兎さんが私のことをじっと見ていた。
「どうかしましたか?」
あまりにも見つめられるので思い切って私から話しかけると、彼は真剣そうな顔で
「いや、お前って……女バレのセッター?」
と尋ねてきたから明るい声で自己紹介をした。
「はい! 片桐Aです!」
クラスの人の目もあるのでテンションを高くして挨拶すると木兎さんは何故か「ふーん?」とニヤニヤしていたがすぐに人懐っこい笑顔で
「俺は木兎光太郎! よろしくなA!」
といきなり下の名前で呼んできたのでびっくりした。めちゃくちゃフレンドリーな先輩だな。
「お待たせ」
「おそーい!」
「ごめん」
そして軽く話すと美紀たちのところに座ってお弁当を広げた。
「Aいいな。赤葦くんと仲良さそうで」
ミニトマトを口に放り込みながら美紀は心底羨ましそうに私にそう言った。
「別にバレー繋がりってだけでそこまで仲がいいわけじゃないよ」
あと席が隣ってだけでしょ。唐揚げを口に運びながら言い訳のように言うと真理と美紀は勢いよく
「いや、隣の席だよ?!」
羨ましい!美紀はそう言って頬を膨らませた。やっぱりズルい、かわいい人がやると絵になる。
学年でも屈指のかわいい顔をした美紀と真理の顔を見て、THE普通な私は自然とため息がこぼれる。あんなに可愛かったらこうやって常にテンションを高くする必要も周りに嫌われないように空気を伺い続けることもしなくていいのに。
……いいなぁ。
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マカロニ(プロフ) - きいろさん» コメントありがとうございます!私も算数・数学嫌いなので共感してもらえて嬉しいです(笑) (2020年4月8日 15時) (レス) id: 30ec427a94 (このIDを非表示/違反報告)
きいろ(プロフ) - 「数字とか爆発すればいいのに」が普段私の思ってることすぎて吹きましたwこの作品、とってもおもしろくて好きです!! (2020年4月5日 19時) (レス) id: d4f4d3c247 (このIDを非表示/違反報告)
マカロニ(プロフ) - しゃけさん» コメントありがとうございます!強豪のスタメン設定なのでめっちゃ高くなってます。 (2020年2月16日 20時) (レス) id: 30ec427a94 (このIDを非表示/違反報告)
しゃけ(プロフ) - 木葉さんに耳打ちするとき「ひゃ、ひゃくななじゅうご!?」ってつい口から出ました。夢主身長たっけぇ〜… (2020年2月16日 19時) (レス) id: 9cd1e2c3d2 (このIDを非表示/違反報告)
マカロニ(プロフ) - 華火さん» コメントありがとうございます。マネージャーさんなんですか?!私の部活にはいないのですが選手のために日頃からサポートしてくれるマネージャーってめっちゃ尊敬します! (2019年8月15日 8時) (レス) id: 30ec427a94 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:マカロニ | 作成日時:2019年2月26日 21時