ヒロインの色恋沙汰とかどうでもよき｡【梟谷】

不本意すぎる人物像 ページ20

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ダルい｡


いつもは朝練の後も元気なはずなのに今日はありえないくらいに疲れた｡そんなに練習がハードだったわけじゃない｡いつも通りの練習内容だったのに｡


「まあ､そのうち治るよね」


こう呟くことすらダルいけどそう思っていつものように授業を受けて､美紀と真理と一緒にバカやりながら過ごして迎えた放課後｡


「治らない……だと」


結局､ダルいままだった｡しかも朝より疲れた｡


部活行かなきゃ｡バレーを始めてから早9年……いや今年で10年間練習を休んだことはほぼ無いためここで私の頭に休むなんて選択肢は浮かばない｡

「いつもみたいにトス上げられるかな〜」

教室から体育館までの短い距離ですら歩くのがツラいけどそれは気にせずに歩いていると正面から赤葦が現れた｡


「うぉっ」

うわっ､女子らしくない声｡なんて普段の冗談も出ないくらい頭が回らない。

「片桐」


「んー？」


「体調悪いよね？」


「……」


「体調悪いよね」

二回目に至っては疑問形ですらないけど本当のことだからノーコメントで切り抜けようとしたけど赤葦が思った以上に手強い｡答えなかったら意地でも通さないつもりだ｡


「……うん。熱は測ってないからわかんないけど」


結局赤葦の圧力に負けて素直に白状するとやっぱりとため息を吐かれた｡


「とりあえず保健室行きなよ」


「やだ｡部活行く」


「いや､やだじゃなくて」

ちゃんと治してから部活しなよ｡と言う赤葦はなんだかお母さんっぽい｡

おとなしく保健室に向かうと何故か少し後ろについてくる赤葦｡


「え､なんで？」


「だって片桐保健室行くフリして部活行くでしょ？」


「しないよ？！」


こいつの中の私の人物像は一体どうなっているんだか｡

「そんなことしないから大丈夫だよ」


「女バレの人に保健室いるって言っておこうか？」


「うん､お願い」


ありがとう｡そう言うと何故か驚いた顔をされた｡



……すごい不本意なんだけど｡

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