ヒロインの色恋沙汰とかどうでもよき｡【梟谷】

勝てなくちゃ意味がない ページ16

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「A､真理！ やったよ！ 赤点回避！」


「いや普通は取らないものだから」


「それな」


「真理はギリギリのやつあるから美紀のこと言えませ〜ん！」


「バレたか」


そんな下らないやり取りをしながら私たちは夏休みを迎えようとしていた｡ちなみに私は今回数学がわりと点数よく､学年で7位だった｡赤葦効果すげえ｡


「そういえば､Aインターハイお疲れ｡惜しかったね」


「本当､Aがバレーしてるの初めて見たけどかっこよかったよ！」


「ありがと､二人とも応援きてくれたんだ」


「まぁ､私は部活だけどね」


「あ〜､美紀チアダンス部だもんね」


私たち女バレはインターハイでようやく全国の舞台に立てたものの二日目に優勝校の新山女子とあたって負けた｡


あの時､先輩たちのスパイクもリベロの後輩のレシーブも同級生のサーブだって､何より自分のセットアップも調子がいいことがわかった｡みんな全力を出しきれていた｡


なのに負けた｡ストレート負け｡



「梟谷の女子ってパッとしないな」


「やっぱり男子の方がすげぇ」


うるさい､うるさいうるさいうるさい｡ギャラリーでただ見ているだけのやつに何が分かるんだ｡そう叫んでそいつらに殴りかかってやりたかったけど､先輩達の涙を見たらそんなのどうでもよくなった｡


とにかく悔しかった｡終わった後みんなから「相手が悪かった」「運がない」なんて言われたけど､違う｡勝ち進んで行けばいずれあたる相手だ｡それが他のチームより少し早かっただけ｡


勝ちたい｡


勝って私……私たちはまだオレンジコートに立っていたい｡まだバレーボールに触っていたい｡



後ろを向いてなんていられない｡



「もう夏休みか〜早いね」


「ほんと､あっという間」



そうだ､次の春高予選だってあっという間にきてしまう｡１月まで先輩を引退させられない｡



私にとっては後１回ある夏休み｡



けど今のチームで迎える夏は最後｡



もう一度､オレンジコートに立って先輩にトスを上げる｡それが私の目標だ｡

青春したい→←イケメンの笑顔で人は死ぬ

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