ザンデの恥 ページ2
ディアルside
ルシタニア兵達がざわめいた。
あたしは、低く舌打ちした。
……この盲目が。人目くらいはばかって物を言え。
周りの動揺など知らぬ顔で、ザンデは主張を続けた。
ザ「アルスラーンなどは簒奪者の産み落とした犬ころに過ぎぬ身よ!いずれ時が来れば、貴様と俺、どちらが王家の真の忠臣であるか、判明するわ!」
ダ「簒奪……正統の王位とはどういう意味だ!」
ザ「知りたいか?ならば俺と戦え!!見事俺に勝つことができたら、貴様の知りたいことを全て教えてやる!」
デ「!」
ザンデは大剣を掲げて、歯を見せて笑った。
ダリューンはヒルメスの正体を知らない。
その上での優越感だろう。
……まずい、ザンデが斬られる…ッ!
ダ「では遠慮なく教えてもらうとしよう」
デ「………!!」
凍えるほどに、落ち着きはらった声音だった。
ガァアンッ!!
デ「(………なっ…)」
たった一合。
ダリューンの、ただ、一合だけ。
それだけで勝敗は決した。
兜と共に吹っ飛び、砂上に転がるザンデ。
馬は逃げ、ひしゃげた兜が、あたしの目の前まで飛んできた。
……ただ一合で、ザンデを叩き落としてしまった。
あたしは、胸に全身の熱が集まるような気がした。
…格好いい……。
ダ「八の実力を十に見せる迫力と闘志は見上げたものだ。だが、二度も通用すると思うな」
ザ「ぬっ……!!」
その時、信じられないことに、ザンデは見苦しく抗った。
自分の力量差を認めず、敗けを受け入れぬばかりか、ダリューンの馬を斬ろうとしたのだ。
リ「騎手を討つにはまず馬から……か。まあ理屈に叶っちゃあるけどねェ」
デ「ザンデめ……!あの恥知らずが!」
リ「あんたが恥じる必要はないと思うよ」
女神官の矢がザンデの太い右手首を穿ち、彼は大剣を落とした。
ダ「さあ、先程の言葉の意味を教えてもらおうか」
ザ「くぅッ……!」
手首に刺さった矢を、ザンデはダリューンめがけて抜き放ち、そのまま背を向けて走り出した。
ワ「…あ」
……ブチンッ
デ「…エィドルッ!!!」
ダ「!!」
エィ「俺かよ!そんな気ィはしてたがな!!」
馬から飛び上がり、エィドルはザンデめがけて鉄鎖を投げつけた。
ギュルンッ!
ザ「ぐぁッ!!?」
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咲き(プロフ) - アル戦ファンさん» シャプールかっこいいですよねぇ。アニメ漫画はほんとに残念でした。この小説ではもっと出番作るつもりです。もう少しでぺシャワールに着きます。アルスラーンとヒルメスが対峙する夜を書いたら、本編を再開する予定ですので、よろしくお願いいたします (2018年7月27日 16時) (レス) id: 36a679870d (このIDを非表示/違反報告)
アル戦ファン - 咲きさんのアルスラーン戦記の本編も楽しみに待っています (2018年7月26日 21時) (レス) id: 9f17638a99 (このIDを非表示/違反報告)
アル戦ファン - シャプールの再登場!私は彼も好きなんですよ。原作では生き残って欲しかったですよね(T_T)アルスラーンにとって信頼のおける武将になっていましたよね。万騎長一人でもアルスラーン派につくと心強いです。 (2018年7月26日 21時) (レス) id: 9f17638a99 (このIDを非表示/違反報告)
咲き(プロフ) - アル戦ファンさん» 本編と違ってヒルメス派ですからね。元々セレンはヒルメスと相性イマイチですから、一緒にいるせいで王族への反感も増しちゃってるんです。アルスラーンにも火の粉をかける反面、こいつならまだ希望あるか…?という感じですね (2018年7月22日 13時) (レス) id: 36a679870d (このIDを非表示/違反報告)
アル戦ファン - ディアル陣営、アルスラーンに対する評価が厳しいですね(^o^;)彼らもいつかアルスラーンの王としての才能に気づくのでしょうか。そして、ディアル、ある意味ピンチですね。 (2018年7月21日 22時) (レス) id: 9f17638a99 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:咲 | 作成日時:2018年5月22日 7時