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「あーそうそう。店長!!これ見ましたぁー？」
「えー？なにー？」
大量の商品が届き、りさちゃんと2人で商品
をようやく出し終えてひと息ついてた時だった。
「ん？なにこれ。人がキスしてるとこなんて
全く興味ないんだけどー」
そう笑いながらりさちゃんにスマホを突き返す。
「いやっいや違いますよー(笑)私もそんな趣
味ないですからー。この男の方ってうちのお客
さんの渡辺翔太くんですよー。」
「えっ............。。。」
りさちゃんから言われたその一言で頭が真っ白
になった。
冷静を装おいながらりさちゃんにもう一度
スマホを見せてもらう。
「翔太くん.........」
確かにそれは翔太くんだった。
私の知らない綺麗な女の子と
キスをしてる翔太くん。
後ろからピッタリとくっ付く彼女
ブレスレットの写真
心臓がバクバクして手の震えが止まらない。
「ごめん。ちょっとトイレ行ってくるね」
りさちゃんの前で取り乱すわけにはいかない
どうにか冷静さを保ちながらトイレに駆け込んだ
それと同時に一気に涙が溢れてくる。
声を押し殺すけど溢れる涙と嗚咽が止まらない
どれくらいトイレに閉じこもってたんだろう
「店長ーー!!大丈夫ですかぁー？気分でも悪い
ですか？」
心配したりさちゃんがゆっくりと
ドアをノックする
「あーごめんごめん。大丈夫だよぉー!!今日は
もう先に帰ってー!!後は私一人で大丈夫だからー
。おつかれさまー！」
「ほんとに大丈夫ですかー？店長全然出て
こないから心配しちゃいましたよー。じゃあ
お先に失礼しますね。表のカギ一応閉めておき
ますね！おつかれさまでーす」
私は暫くトイレから動けなかった。
ただただ泣いた。ここまで泣いた事
なんてあっただろうか？
涙が枯れるってホントにあるんだねっ...。
ゆうに１時間はいたトイレ。泣きすぎて頭が
痛い...。ゆっくりと立ち上がる。
"イッタ..."ずっと座ってたせいで腰が痛い
腰を擦りながら鏡を覗く。
酷い顔...。ボロボロに落ちたアイメイクで
目の下は真っ黒、目は真っ赤。
グチャグチャの顔。
ほんとに最悪だ...。
こんな顔で帰れる訳もない。仕方ないから
ノーメイクで帰ろう...。
勢いよく水でバシャバシャと顔を洗う
泣きすぎて枯れたと
思った涙がまた溢れてきた。
翔太くん......。
私は翔太くを好きになり過ぎたみたい。
翔太くんは違ったんだよね...。
いい歳してバカみたい...わたし。。。
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作者名：せりか | 作成日時：2020年4月10日 21時
