あなたの全てがすき (ページ35)

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「ほんとになんでもないよ」

「あーそう。。。なんでもないなら良いけど」

ジャケットのポケットに手を突っ込む。

Aにあげるつもりだったブレスレット

この時は嫉妬からもうどうでもよくなってて

誕生日でもないし、俺がこれを買ってる事

だってAは何も知らない

軽い気持ちだった...。

何も深い意味なんてなかった…。

「これ、りなにあげる。コーヒーご馳走して

貰ったお礼。。。はい。」

ブレスレットの小さい箱をりなの手に置いた

「えっ。これって私にじゃ......」

「ん...❔」

「あっ。ううん。なんでもない。いいの？

こんなの貰っちゃって。。。ご馳走っていっても

コーヒーだけだよ(笑)」

「いいって。別に。そんなに高いものでも

ないし。」

俺の中ではそんな大した事ではなかった。

ただ行く宛てもなくなったアクセサリーを

何の気なしにあげただけだったんだ...。

翔ちゃん......。

そう小さく俺の名前を呼んだ彼女が

勢いよく飛び込んで来たかと思うと

ぐっと俺を引き寄せキスをした。。。

！!!!!!!!!

「なっ!!なに!!どうしたの？」

イキナリの事にびっくりした俺は

彼女の肩を持って引き離した。

りなの顔を見るとみるみる内に涙が溢れていた

「ごめんなさい。。。。こんな事してダメだって

わかってる。好きな人が出来たからって

一方的に別れ告げたのは私の方なのに、でも

やっぱり翔ちゃんじゃなきゃダメで、翔ちゃんの

事がずっと忘れられなかった...。。勝手なのは

わかってる。。でもホントに好きなのはやっぱり

翔ちゃんだけなの。。。ねぇやり直せない？

私たち。。。。」

「いやっ。。。俺さっ......実は..」

「私、彼氏にDV受けてるの.........。」

そう言った彼女は足や腕にある無数の痣を

俺に見せた。。。

俺を捨てて付き合った男。初めは優しかった

けどすぐに暴力をふるわれるようになった

らしい。仕事もせずギャンブル三昧。

彼女のおカネをアテにするようになった。

モデルの仕事だけじゃ食べてけない彼女

は夜の仕事をして稼ぐようになった

その稼ぎもほとんど彼氏に使われるらしい

「翔ちゃんを裏切った罰だよね。きっと。

あれだけ大切にして貰ってたのに......

いつかまた会えたらこの気持ち伝えたいって

思ってたの。そしたら偶然会えて......。

ほんとに嬉しくて...」

そう泣きながら伝える彼女に俺は

Aの存在をすぐに伝える事が

出来なかった...。