帰り道、あの人と一緒 ページ20
守美side
あれから私は教室に帰り、皆と反省会をした。
私がバッチで録画した映像はかなり役立ったらしく、色んな人にお礼を言われた。録画しただけだけど……。
皆の評価がこれなら、出久君に見せても問題ないよね。
データ入りのチップが入ったポケットを、そっと撫でる。
……帰ったら映像編集しよう。
編成した映像と一緒に、さっき皆に書いてもらった“コレ”も、彼に渡してみよう。
…………もちろん、反省していたら、ですけど。
オ「………やぁ、守美ちゃん」
守「…………ぁ。
……………八木さん…」
オ「一緒に帰ろ？」
校門で待っていたのだろうか、八木さんが困ったように、ぎこちなくヘニャリと笑う。
“はい”のたった二文字が何故か言えなかった。
何故かひどく息苦しい。
この人相手に、昔誰かと話す時みたいに喉が詰まることなんて……あっただろうか。
言葉の代わりに、小さく頷いた。
オ「よかった」
守「……」
安堵の声が優しく、耳に心地いい。
私は思わずうつむき、目線を落とした。
意味も分からず涙が出そうだった。
二人並んで歩く。
頬を撫でる風が、少し肌寒い。
八木さんが温もりを求めてか、もしくは他の意で私の方に寄った。
私も何となく、彼に近付きたくて、同じように寄る。
ふふ、という微笑が八木さんの口から漏れたのを、確かに感じた。
オ「今日は少し肌寒いね。花冷えというやつだ。手を繋ぎたいけど……」
八木さんが私に手を差し出した。
八木さんと私の身長差は50�僂鰺イ鳳曚┐襦�
オ「届かないね」
守「…………」
……八木さん。あのね。
私ずっと、思ってた事があるんです。
私、貴方の、私のせいで寂しそうな顔を見るのが
すごく、嫌なんです。
ギュッ
オ「！」
守「届きますよ。頑張れば、どこにだって」
背伸びをして、骨張った大きな手を握る。
八木さんは驚き、私を肩越しに見た。
私はそれを、真っ直ぐ見返した。
今回は何故か何の抵抗もなく、真っ直ぐと。
守「“
待っててください」
オ「え……」
喉の息苦しさが消えた。
口の歯止めが聞かなくなった。
言葉が、思いが、想いが溢れる。
止められなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 83人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
咲き(プロフ) - ののいろ系女子さん» か、神作…！！？初めて言われました！すごく嬉しいです頑張ります！！ (2019年1月7日 15時) (
レス) id: 36a679870d (このIDを非表示/違反報告)
ののいろ系女子 - ヤバい、凄い面白い！神作！ありがとうございます！大好きです！これからも応援してます！ (2019年1月7日 13時) (レス) id: 8fb3eabd58 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：咲 | 作成日時：2018年10月15日 21時
