秘密の現場です、思いの吐露 ページ16
守美side
急いで階段を駆け降り、ドアにぶち当たるような勢いで外に飛び出す。
そのとき性能優秀な私の耳は、勝己君を目の前にした出久君の声を捉えた。
出「人から授かった個性なんだ」
……ああ、出久君………。
終わった。
出「誰からは絶対言えない！言わない…けど、漫画みたいな話だけど本当で……！」
勝「……！？」
守「(あああああああああああああ)」
出「おまけにまだろくに扱えもしなくて……全然モノにできてない状態で……！
だから…使わず君に勝とうとした！けど、結局勝てなくて、それに頼った！
僕はまだまだで……だから……！！」
勝己君の、僅かな驚愕を浮かべた顔に、ひくりと青筋が浮かぶ。
マズイ止めなきゃ、と彼らの間に飛び出そうとしたその時、出久君が放ったのは、
出「いつかちゃんと自分のモノに
して、“僕の力”で君を越えるよ」
…意外な、だけど力強い、意思表示だった。
私は走り出るのを止めた。
仲介に入ったとしても、今それをやるのは無意味な気がした。
勝「………何だそりゃ…借り物……？ワケわかんねぇ事言って……これ以上コケにしてどうするつもりだ………」
ふらついた勝己君の、声までも、不安定に揺れていた。
私は戦闘訓練の時とはまた違った緊張感を覚えた。
……勝己君………声、泣いてる………。
勝「だからなんだ！？今日…俺はてめぇに負けた！！そんだけだろが！そんだけ………ッ！
氷の奴見て！敵わねぇんじゃって思っちまった…！！クソ！！ポニーテールの奴の言うことに、納得しちまった…ッ、アイツもだ！
守美も！！」
守「！！」
勝「半分野郎に勝って……腕の奴を出し抜いて！！なぁ！？クソが！！どいつもこいつも！！！」
今にも爆破を起こしそうな手を振り乱し、声もたかぶる勝己君。
彼の目には、想像もしなかった、わずかだが涙が滲んでいた。
勝「なあ！てめぇもだデク……！！
こっからだ！！俺は……こっから……いいか！！？
俺はここで一番になってやる！！！
てめぇが俺に勝つなんて、二度とねぇからな！！クソが！！」
涙を袖で拭きながら、くるりと背を向ける。
その足取りはどすどすと重くて、先程よりかは幾分、彼らしさを取り戻したのではないかと思えた。
勝己君の背を見送り、出久君のみならず、私の緊張の糸も途切れたその時だった。
凄まじい突風が私達をなぶったのは。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 84人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
咲き(プロフ) - ののいろ系女子さん» か、神作…！！？初めて言われました！すごく嬉しいです頑張ります！！ (2019年1月7日 15時) (
レス) id: 36a679870d (このIDを非表示/違反報告)
ののいろ系女子 - ヤバい、凄い面白い！神作！ありがとうございます！大好きです！これからも応援してます！ (2019年1月7日 13時) (レス) id: 8fb3eabd58 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：咲 | 作成日時：2018年10月15日 21時
