これからのあたしの居場所は…あの人の隣だ１２

襲撃犯 ページ44

セ「エラム！アルフリード！メルシィ！」


エ「セレン様！」


セ「ナルサスの読み通りになったな」









門前に迫ってきている海賊達を確認して、セレンは低く呟いた。


物腰や口調は、既に戦闘状態のものだ。





セレンの気迫にも、海賊達の熱気にも臆することなく、アルフリードは胸を張って言った。







アル「ナルサスの読みが狂ったことなんて一度もないよ」


エ「いや、一度だけある」


セ「ん？……いつだ？」


メ「どんなこと？エラム？」


エ「このじゃじゃ馬と知り合ったことさ！ナルサス様にとって、ただ一度の計算違いだよ！」


アル「何ですって！！？」







セ「ここまで来て喧嘩をするか」


メ「もう！エラム！！アルフリード！！」


セ「やめておけメルシィ。きりが無い」


メ「ですが…」


セ「時と場の切り替えはできる子達だ。時が満ちればその気になろう」





と、苦笑交じりにセレンは矢をつがえる。


弓弦がきしむ音が風に乗って聞こえたのか、眼下の海賊達も、こちらに向かって続々と矢じりを向け始めた。








セ「弓箭兵！！構え！！」



アル・エ「「！！」」


セ「撃てェッ！！！」







彼女のかけ声と共に、相互の弓弦が弾かれた！





ドドドドドドドド！！！



闇を斬る風の音。


地を踏み鳴らしながら前進してくる海賊達の、けたたましい怒号と絶叫。






その耳障りな声には、物欲の心が溶け込んでいた。


それが、セレンには嫌になるほどによく分かった。








ドォオンッ！！





メ「ッ」





破城杭を門に撃ち立てる音が、振動となって、彼女達の足元を揺るがした。









デ「フン…ギランの奴を使っているな…………奴等め、この町の破城杭を奪いおったか。忌々しい。
弓箭兵、進撃を許すな！頭を射落とせ！！
メルシィ！遠慮はいらん。溶解液で奴等の弓箭隊を溶かしてしまえ！残った弓矢だけ回収すれば良い」


メ「はッ！」








武器を買う金も惜しいところなのだが、こう真っ正面から突っ込まれては、相手の武器ほしさに手を抜いていると、こちらの足元がすくわれる。






メルシィが毒液を振りかけ、兵達が矢を眼下に浴びせる中







ふと怒号が止んだ。



不気味に思った兵達も、一瞬、思わず弓弦を引く手を止める。









静寂に、ひとつの馬蹄が響いた。









デ「…出たな」








進み出てきた男を見……黒獅子戦士(シール・シャルダーン)ディアルは、目を光らせた。

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