これからのあたしの居場所は…あの人の隣だ１２

旧友との決別２ ページ33

自分の胸をペタペタと触り、うなだれるアルフリードを慰め、セレンは意識を集中させた。






セ「(…いつか、あたし一人の力で魔術を使って、皆を助けたいな)」


セ『(ソノ日も遠クナイヤモシレヌ。オマエハ素質ガアルカラナ。アタシト、アタシノ主様ノ使命ヲ終ワラセタラ、キット、ソノ日モ来ル)』


セ「(……うん、そうだね)」





セ「『《遠聴(ズィーザム)》』」









キィーーーーーーン……









アル「な…に、これ？耳鳴りが…」


セ「すぐ慣れるよ。……ほら、聞こえてきた」







水の中にいるような感覚が薄れ、眼下の音が二人の耳に響く。



金を配る役人の声、庶民の声など……雑音が徐々に退いていった。






そして、





ナルサスと、ナルサスのもめている相手の声のみが二人の耳に飛び込んでくる。





ナルサスの相手は…









シャ『ほう、何か考えがあるようだな。欲深い奴等は大勢いる。それを全て刈る気か？無益なことだ』


アル「！！シャガード…シャガードだったんだね」


セ「……」






シャガードの声には辛辣な響きがあった。


ナルサスの声も、決して穏やかではない。








ナ『無益かどうかはどうでもよい。海賊退治は、我らにとってギランに対する効果的な示威となるのだ』


セ『(モウ海賊退治ノ策ヲ考エテイタノカ)』


ナ『過去の被害記録を調べた。奴等海賊共は、高価な品や珍しい品を乗せた船が港を出入りするとき、狙いすましたように現れる』


シャ『…何が言いたい』


エ『海賊に情報を流している者がいるという事ですか？』


ナ『そうだ』


アル「…意外。ペラギウスの予想、的中してたよ」


シャ『危ない橋だ。そやつはただでは済まぬだろうよ。いや、そんな輩が本当にいるなら、中々の策士ではないか』


セ「ﾋﾟｸｯ))……」








"そんな輩"を賞賛するようなシャガードの声に、眉間にまたひとつ皺が刻まれる。



ナルサスも聞き逃せなかったらしく、嫌悪感をあらわにした。








ナ『策士？私はそうは思わん』


シャ『誰かが富を得れば、誰かが富を失う。それが世のならいだろ？』









ブチンッ！！









アル「！？」









耳の違和感が急に弾けとび、周りの音が全て鮮明に浮かび上がる。



術が切れた。






……いや、術より先に、セレンの堪忍袋の緒が切れた。









セ「ぬかしおって…！」






セレンはアルフリードの腕を掴み、地行術で三人のいる下に降りた。

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