怒りに好機に ページ4
ローデガルト出身者以外の皆が言葉をなくした。
唯一他に、商人のシャガードだけ、皆の様子を訝しんでいた。
シャ「いかがなされた?
ダ「ッ…………!!((バッ」
ダリューンが剣の柄に手をおいて腰を浮かせた。
それを、セレンは彼の腕を引いて静めた。
セ「いいえ、シャガード殿。我等皆、その事は存じておりまする」
ダ「セ、セレン…」
ぺ「そ、そうでございましたか。ど、どれほどにご存じで?」
ア「……かの町の現状は友人の話でしか知らぬ。だが、おぬし達商人が彼等をどう扱っているかは、昨日一目見た」
ぺ「そっ、それは随分な御目汚しに。申し訳ありません。自警団によく言って、警備をより強固にいたしますゆえ、お許しください」
アルスラーンは再び、言葉をなくした。
それは、ローデガルトの者を、より町に入れないようにするということか?
何故そこまで拒む?
苦しみ、手を伸ばしてくる者がすぐ隣にいるのに、何故余計に彼等の希望を無くすような真似をする?
これほどの財があれば、うん百人の人間を救える…いや、千人は救えるかもしれないのに。
"貧乏人が金を出しても誰も救えませんが、金持ちが金を出せば沢山の者が救えます"
ナルサスはそう言っていた。
なのに、どうして?
どうして、自分のために貯めるだけ?
どうして、自分以外の下の者には見向きもしない?
何故それが普通なの?
アルスラーンは総督を見て、セレン達を見た。
ア「(これが、普通だったのだな。……私もまた…見えていなかった)」
王宮で過ごし金銭に困ることなく、現に困っている者達を見て、哀れと思っても…
それが当然の者達なのだと、心のどこかで決めつけていた。
エクバターナに来たエトワールに出会うまでの自分が、まさにそうだった。
セレンに諭されるまでの自分が、そうだった。
"あたしの居場所を作ってくださいますか"
ア「(セレンディーネ、好機だ。私はこの町にいられる時に…結果的に、おぬし達のような者を救えるような事がしたい。きっと今、それができる時だと思う)」
セレンがほんの少し目を見開いて、アルスラーンを見る。
アルスラーンは小さくうなずき、まっすぐ総督を見据えた。
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サヤノ - 咲きさん» 咲きさん、こんにちは、お久しぶりです、近頃はコロナウイルスの影響で買い出し以外は外泊は控えてますが、咲きさんは変わりはありませんか? コロナ対策法では手洗い、うがい、消毒を済ませるようにして下さい、くれぐれも気をつけて下さいませ。 (2020年2月22日 11時) (レス) id: dd5aa67050 (このIDを非表示/違反報告)
アル戦ファン - 最新のニュースですよ!アルスラーン戦記がミュージカルするんですよ。東京と大阪でしますから、私の場合、現地に行かないと行けませんね。その前にチケットを手に入れないと! (2019年4月28日 20時) (レス) id: 2ddfe4a912 (このIDを非表示/違反報告)
咲き(プロフ) - サヤノさん» ありがとうございます。長らく更新していないにも関わらず、このようにコメントをいただけて幸せです (2019年2月5日 20時) (レス) id: 36a679870d (このIDを非表示/違反報告)
サヤノ - 咲きさん、お元気でしたか? 私は毎日毎日読むのを楽しみながら元気しています…必ず応援してます! (2019年2月4日 15時) (レス) id: 41b29e3ed5 (このIDを非表示/違反報告)
咲き(プロフ) - アル戦ファンさん» わかりました。この章はもうお話がいっぱいなので、次は続編から書きますね (2019年2月1日 23時) (レス) id: 36a679870d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:咲き | 作成日時:2017年3月11日 21時