これからのあたしの居場所は…あの人の隣だ１２

決意 ページ29

セレンside





ダリューンが、どこかに行ってしまった。



まだ、甘え足りないのに。







セ『(マッタク…半刻クライ待テヌノカ)』


セ「(セラ？)」


セ『(オマエト同ジク甘エン坊ナ奴ノコトダ、言葉ガ交ワセヌカラ、書ク物ヲ持ッテクルツモリダロウ。……オマエモマダマダ、相手ノ心ヲ読メヌヨウダノ)』


セ「(そんなの、………うーッ、だってダリューン昔はあんな顔しなかったもん！物欲しげな目はしてたけど、昔は今みたいに積極性なかったんだから！分かんないよ…///)」


セ『(フン、昔ヨリ遠慮シナクナッタトイウダケヨ。アヤツハ昔カラ、オマエヲ求メテオッタワ。当ノ本人ハソンナ本心ナド気付イテオランカッタガ)』


セ「(知ってたなら教えなさいよ！///)」


セ『(無茶言ウナ！覚醒ニ向ケテ力ヲタメテイタノダゾ！無理！！)』


セ「(うぅぅぅぅっセラの馬鹿！！！((怒)」


セ『(理不尽！！！)』








理不尽である←









セ『(……トコロデ、良イノカ？)』


セ「(……何が？)」


セ『(ム…我等ハ二心同体ゾ。アタシガ聞キタイ事クライ分カッテイルダロウ！)』


セ「(………あの、ローデガルドの記録書を書いた人物の事？)」









ソウダ、とセラはセレンの中で頷いた。






セレンは重々しく溜め息をついた。









セ「(もちろん、言うよ。黙ってちゃいけない事だと思うし………殿下に迷惑かけるかもしれないけれど…)」


セ『(ギランヲ統治シ、更ニ、ローデガルドノ復興ニ手ヲ出ス暇ハナイモノナ』


セ「(………)」









セレンはバルコニーから外を見た。






町の東……分厚い薄灰色の暗雲が、広い範囲に垂れ込めている。


あの下に、ローデガルドがあるのだ。






こんなにも、近い。







セ「(確かに、そんな暇なんて今のあたし達にはない。……でも、彼等は救うわ。
絶対、あの町も、変えてみせる)」


セ『(……無論ダ。ルフィオ(我が子孫)ヲ放ッテオクワケニハイカヌ)』


セ「(ええ)」








ローデガルドの救済は、ギランの改革より容易ではない。


それでも





故郷だから。








大切な場所に、違いない。


どれほど忌まわしい過去があっても








大事な、大事な人と過ごした町だから。



待ってて。








必ずあたしが、ローデガルド(あ な た た ち)を救ってみせる＿＿＿＿…。









バタンと扉が開いた。




振り向くと、沢山の紙束とインクを抱えたダリューンがいた。

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