これからのあたしの居場所は…あの人の隣だ１２

"ギラン総督"の罪 ページ21

ズイッ



大きな鳶色の目玉が、暗い喜びをたたえ、ペラギウスの顔を至近距離から覗き込んだ。




ヒッと情けない声を出すペラギウス。






セレンはペラギウスの頭を打った物を拾い、彼の眼前に突き付けた。









セ「見えるか。貴様の金庫の鍵だ。秘密の書庫の、タペストリーの裏に金庫そのものもあった。もっと凝った隠し場所を作るべきだったな」


ぺ「あぁぁぁぁ……」


セ「殿下。金庫の中には金貨８０万余枚、着服金に加え、それ以上の量の金銭を確認いたしました」


ア「ご苦労だった。セレン、ギーヴ」








アルスラーンは優しく彼らを労って、ファランギースに晴れ渡った夜空の瞳を向けた。


視線に応えて、深緑の目はいまや欲張りすぎた小男となった総督を冷たく眺めやった。





ファ「聖賢王ジャムシードの法(のり)と理(ことわり)によりて、人界の悪を裁く。せこい悪でも、目の前にあれば放ってはおけぬのでな」


ア「ギラン総督ペラギウス。王都の混乱に乗じ、私腹を肥やすおぬしの悪業、このアルスラーンがしかと見届けた。
おぬしを総督より解任する」








ペラギウスは項垂れ、沈黙した。



制裁回避の余地はなかった。







彼の栄華はここで終焉を迎えるのである。





そこで、この男に関する制裁は一段落したかに思われたが、




異議を唱える者がいた。









セ「殿下、それではとてもではありませぬが、甘い処置と存じます。この者の罪業は、着服金を巻き上げたにとどまらぬのですから…」


ア「……セレン…？」






セレンの様子が、どこかおかしい。



ダリューンは不安感を覚えた。






セレンはうやうやしく片膝を付き、アルスラーンを見た。






何だか、鳶色の瞳がただならぬ闇を取り込んでいるかのように見えたのである。


アルスラーンも不安になった。









-









セ「申し上げます、殿下。
"ギラン総督"は、パルス国において、
英雄王カイ・ホスローの陵墓に次ぐ聖地たるローデガルドを、

身の程知らずにも私物化なさいました」




全「…！！！？」









ダリューンside





ダ「セレン………今、何と言った？ペラギウスが、ローデガルドを……私物化したというのか」


ぺ「ち、違う！何を言うのだ、あの町を私物化などして、俺になんの益があるというのだ汚らわし((ゴッ！！))……かﾊッ！」


全「！！！」





セレンは、拳で思いきりペラギウスの頬を殴り付けた。

ローデガルドの過去→←作戦成功

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す