作戦開始 ページ17
夜半。
ギラン総督のペラギウスは、グラーゼより{生きた土産}を貰うのを約されて、楽しみに待っていた。
生きた土産。すなわち、美女。
率直に言ってしまえば、これはいわゆるご機嫌取りというものだが、ペラギウスは心の底から楽しみにしていた。
何しろ欲に従順な男である。
金だけでなく女も好物であった。
また、利益をもたらさない客人の機嫌取りに疲れてきていたのである。
さてさて、今宵は何者が餌食になるのやら。
何に、とは言わずもがな…
-
-
…
直後に、グラーゼが扉を開けた。
ぺ「おお！グラーゼ、待っておったぞ」
グ「お久しぶりです、ペラギウス総督」
ぺ「災難であったな。無事で良かった」
グ「ええ、品は全て無事でしたとも。それもあの客人達のお陰ですな」
ぺ「…？ああ、そうだな」
グラーゼは台詞に皮肉を混ぜたが、ペラギウスはそれを汲み取りさえしなかった。
総督は自分達を助けてはくれなんだ。
グラーゼや船員達や交易品が無事だったのは、ひとえにアルスラーン王太子等のお陰だ。
……そんな事を心中で呟きながらも、グラーゼは商人らしい愛想笑いを崩さなかった。
グ「
再び扉が開くと、艶やかな絹服をまとった貴婦人と、黒人の従者らしき男が、ペラギウスの前に進み出た。
ペラギウスは
薄紅のベール越しに、太陽のように輝く二つの深緑の目が、ペラギウスを射抜いた。
グ「どうです、上玉でしょう」
……お上に甘い汁を吸わせて、商売の邪魔をさせないようにするのも、また商売の内。
だが今回の目当ては商売ではなく、ペラギウスを総督から解任させることであった。
ナルサスの策だ。
グ「(頼むぜ、お二人さん)」
グラーゼは密かに、目の前の二人組……ファランギースとジャスワントと、
今頃ペラギウスの決定的弱味となる物を探しているであろう二人組……セレンとギーヴとに声援を送った。
後は、四人の努力次第。
グラーゼは静かに部屋を退室した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 69人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
サヤノ - 咲きさん» 咲きさん、こんにちは、お久しぶりです、近頃はコロナウイルスの影響で買い出し以外は外泊は控えてますが、咲きさんは変わりはありませんか? コロナ対策法では手洗い、うがい、消毒を済ませるようにして下さい、くれぐれも気をつけて下さいませ。 (2020年2月22日 11時) (
レス) id: dd5aa67050 (このIDを非表示/違反報告)
アル戦ファン - 最新のニュースですよ！アルスラーン戦記がミュージカルするんですよ。東京と大阪でしますから、私の場合、現地に行かないと行けませんね。その前にチケットを手に入れないと！ (2019年4月28日 20時) (レス) id: 2ddfe4a912 (このIDを非表示/違反報告)
咲き(プロフ) - サヤノさん» ありがとうございます。長らく更新していないにも関わらず、このようにコメントをいただけて幸せです (2019年2月5日 20時) (レス) id: 36a679870d (このIDを非表示/違反報告)
サヤノ - 咲きさん、お元気でしたか？ 私は毎日毎日読むのを楽しみながら元気しています…必ず応援してます！ (2019年2月4日 15時) (レス) id: 41b29e3ed5 (このIDを非表示/違反報告)
咲き(プロフ) - アル戦ファンさん» わかりました。この章はもうお話がいっぱいなので、次は続編から書きますね (2019年2月1日 23時) (レス) id: 36a679870d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：咲き | 作成日時：2017年3月11日 21時
